公衆無線LANとゲーム機
今。というか、いまさらと言うか。
ここしばらくは個人的に「公衆無線LAN」の使い勝手を試している。別にVitaに限った話ではなくて、もっと、もっと一般的な話。無論、Vitaも関係する事として調べ始めたワケだけど。
で。
まだ、結論を出すには早い段階ではあるが、それでも一つの方向性は見えてきた。
『公衆無線LANは、パソコン前提だし、サービスとして利用者視点というより提供者視点だよね』
と。ちょっと辛らつな言い方かもしれないけど。
ここでは、「公衆無線LANのイメージ」を一応明確にした上で、「公衆無線LANとの付き合い方」を考えてみたいと思う。
あ、冒頭にも書いた通り、調べ始めた時点でのまとめなので、信憑性も網羅性も薄いです。あくまでも、個人的見解。
公衆無線LANのサービス体系
一口に、公衆無線LANといっても、その種類とサービスは様々である。また、各社いろんなサービス名で名乗っている為、一般用語になりきれていない部分もあり、なおさら混乱している風もある。ホットスポットとか、フリースポットとか。無料アクセスポイントとか、無線LANスポットとか。Wi-Fiサービスとか。あぁ、紛らわしい。
とりあえず、サービスとして考えた場合の分け方は、主に3つである。
- 会員/契約制
- 事前に申し込んだ会員や契約を有する個人に対して提供されるサービス。場所は飲食店やコンビニ、公共駅などの設置が多い。有料の場合と、無料の場合とがある。
- ゲスト制
- 事前の申し込みは無いが、特定の場所・エリア(ホテルや施設など)や特定の機器(たとえばにゲーム機)に限定して利用が可能となるサービス。基本的には無料の場合が多いが、特定の場所(サービス)や機器を利用している時点で実体は無料では無い(有料)というケースもある。
- フリー
- 特に利用の制限はなく、誰でも利用可能なサービス。サービスとして提供しているつもりの無い、個人宅に設置されている無線LANが誰でも接続可能となっているケースもある。
正直、有料か無料かはほとんど関係ない。
自分が利用する側として考えた場合に、この違いを意識しておかなくてはならないというのは、正直利用者側としては面倒というか辛い。
撤去が続き、減ってきているとはいえ利用者側が何も考えないで使えた「公衆電話」に比べれば、その敷居の高さと理解のしづらさは、とてもじゃないけど「公衆」とは言いにくい。ある意味、地デジと同じで「よくわかんない」を利用者側に感じさせるサービスであるという点は、非常に残念な感じがする。
ま、それはともかく。次、行ってみよう。
公衆無線LANってどこで使えるの?
とにかく、どこで使えるのか。電線が見えるワケでもない無線という「目に見えない」という特性上、なおさら判らないワケだが、まずはそこがイメージできなければ、ここから先の話も含まらない。どこで使えるの?と。
正直、私も調べ始めたばかりで実感がない感じではあるが、今のところこの2つのサイトが情報量が多くて判りやすい。ただ、載っていない場所も(既に自宅周辺で)確認しているので、ここにあるものが全てではない・・・というのもまた「よく判らない」感をかもしてしまっている気がする。
公衆無線LANマップ
GoogleMAPに連動して、その地点の身近なアクセスポイントを教えてくれる。自分が利用したいサービスが判っていれば、フィルタをかけられるし、比較的探しやすい。まずこれから行く先をざっくり調べてみたいときにはいいかも。
とりあえず、こんな感じ。将来的に「自動販売機にも公衆無線LANを展開」(アサヒ飲料)とかいうニュースも出ていたので、さらに増える事は間違いないが、利用者側はより「自分がどこに接続しているのか」を理解しておかないと「何で使えたり使えなかったりするのか?」が、どんどん判らなくなっていきそうな気がする。
公衆無線LANの使える範囲って?
上の「どこで使えるの?」と、似たような話だが、もっと局所的な話。
よくある誤解として、「携帯電話と同じでしょ?無線なんだし」的に「電波がどこまででも届く」的なイメージをされている方がいたりする。そんなワケない。
無論、機械にもよるんだけど、携帯電話と違う仕組みでそんなに長距離に飛ばせるものじゃない。小電力なものでは見通しが良いところでも10~30m程度しか届かない。電波が強いものでも100m程度。実質的にはその半分ぐらいが限界。各個人の家庭や小さな店舗で使う分には十分カバーできるとしても、大型店舗ではカバーしきれないものだ。携帯電話とは明らかに違うという事は理解が必要な話。
なので、一般的な店舗、特に飲食店は「店内での利用」となり、大型のショッピングセンターやモールなどでも、飲食店や休憩出来るような一部の場所にしか設置できないという事情も出てくる。
極端な話、「どこでも使えるものじゃない」というのが事実である。
どうやって使うの?
問題はココ。どうやって使うのか?という所。
実は、ここが今は未だ自分も調べている最中で、どうもハッキリしていない。というか、自分の感想としては冒頭にも書いた通り、
『公衆無線LANは、パソコン前提だし、サービスとして利用者視点というより提供者視点だよね』
という感じで、正直使いづらいと思っている。
提供する側はサービスのつもりなんだろうけど、とてもじゃないがサービスされているというより、利用者側に「使わせてやってる」という押し付けがましい感じになってしまっている。使う方がストレス感じてたら、サービスとは言えないよね。
と、グチばかり言ってても仕方が無いので、なぜ「パソコン前提」と感じたのかを書いてみる。ここでは、「会員/契約制」での例を書く。ゲスト制はそれぞれで異なるし、フリーに至ってはそれこそ野良AP*1まで存在するのでひとくくりに出来ない。
公衆無線LANはパソコン前提
『一般的な公衆無線LAN「会員/契約制」の場合、Webブラウザの利用が必要である』
という事情がある。これを理解するには、ネットワーク接続の大体の仕組みを理解する必要があるんだけど、簡単に言うとこんな手順を踏んでいる。判りづらいが、(A)と(B)の2つの接続手順が必要という意味。
(A) 無線LAN接続認証
(B) インターネット接続許可
- ブラウザを立ち上げると、認証画面が出てくる
- 無線LAN接続認証が終わっているので、Webブラウザが使える
- しかし、外部に接続する許可が行なわれていない為、強制的に認証画面を表示させる
- 認証画面に「ユーザID」「パスワード」を入力する
- このパスワードは、無線LAN接続認証時に指定した(暗号化用の)パスワードとは別
- 契約にもよるが、IDとパスワードはユーザが任意に変更可能な場合がある
- 入力されたID/パスワードが一致した場合、この端末からのインターネット利用を許可される
- この許可は、端末側ではなく接続している無線LAN側の設定となる
- この為、この接続許可が終わっていれば、メールや他のアプリも使えたりする
長く書いたけどこんな感じ。もっと判りやすい説明は出来ないのか!>自分
要は。
ようは、どんなに事前に設定しておこうが、一旦「ブラウザを立ち上げて会員認証しないと利用できない」という事情が発生するという点が問題。
パソコンの場合、複数のアプリケーションを同時に立ち上げておくのは別に珍しい話ではない。ブラウザを立ち上げれば、勝手に認証画面が出て来るんだから、使う側としても特に深く意識しなくてもいい。
だが、ゲーム機は違う。スマホも違う。スマホの方がまだパソコンに近いと言われるし、複数アプリを立ち上げられるだけましかも知れない。だが、ゲーム機は違う。ブラウザを立ち上げるという事は、ゲームを一旦終了させるという事だ。(ゲーム機にもよるが、Vitaは "通常の使い方" ではそうなる)
これでは、「公衆無線LANを気軽に使う・・・という所までは行かないよな~」というのが印象。
サービス提供者視点とは
「会員/契約制」の場合、会員認証の仕組みが必要だという事は仕方がない。だが、先ほども書いたが「使う側がストレスを感じる仕組み」では、あまり意味がないどころか、サービスとして利用を続けるのは面倒が先に立つため難しい。
仕組み上、上記のような手順が必要になるというのも仕方がないことだとはいえ、この点はもっと簡素化されていいと思う。いや、むしろ簡素化されない限りは、利用が促進されるようなことは無い。
無論、携帯電話会社も「自動ログイン」の仕組みを作ってくれている様だが、実態はまだ伴っていない様で、自分が利用しているドコモに至っては、現時点で散々という言い方をする。
その散々の根拠はここ。
○ドコモ公衆無線LANサービス ご利用可能な機器・設定方法
「かんたんログイン機能」と「自動ログイン機能」がある。
正直、「お金を払って利用したいユーザは "自動ログイン" して欲しい」んだが、実際はこのページの中段以降にある「かんたんログイン機能、自動ログイン機能対応一覧」を見てもらいたい。
「"自動ログイン機能" は 概ね "×"」*2
であることが判る。そして、これは「機種に依存するログイン方法」となる為、当然ゲーム機では(この手の対応が機能としてサービスされない限りは)利用できない。
これでは、
○ドコモ公衆無線LANサービスとは
とはいうものの。確かにその通りなんだけど、気軽には無理だよね。毎回、面倒なんだもん。
まとめ
あくまでも自分のケースで書いたため、ドコモに限定した書き方になっていたり、一般的な話とか他のサービスキャリアに即していない部分とかがある点はご了承頂きたい。
ただ、正直な話として「こんなに面倒なら金払ってでもモバイルルーター持ち歩く人が増えるのは確かだわ」と、納得したのも事実。これじゃ3G回線のデータ通信負荷軽減を目的として、公衆無線LANの促進を促そうとしても、ダメだよねと思った。使う気にならないもん。
サービス体系として「ゲスト」や「フリー」の場合は、事情が違う為、上記手順を踏まず、もっと手軽に利用できるケースもある。ただ、その場合は利用者側はもっとセキュリティー意識を持つことが必要になるし、そもそもビジネスモデルとして考えた場合に、特にフリーがどこまで広がるかは未知数である。
いつか。
いつか、「公衆無線LAN」が「公衆電話」と同じような感じで、「場所は限られるけど、使いたい時はいつでも使える」という感じになった時は、本当の意味で普及するんだろうな~と思った。