テレビの大画面化とゲーム画面のUIと
会社の人と話をしていて「最近はTVでゲームやると疲れるんだよね」という流れになった。その原因についていろいろ話をしていて、ちょっと興味深かったのが「テレビ画面の大型化の問題」があった。
話の発端としては据え置きゲーム機だけれども、Vitaにも関係する話。
今回はそんな話。
家庭用テレビの画面サイズの推移
今更言うまでも無く、地上波デジタル、通称「地デジ」への完全移行で家庭用テレビを国民総買い替え!的に大騒ぎしたのが、2010年頃。当時既に「ハイビジョン対応大型液晶テレビ」が需要の拡大もあり、かなり安価に買えることもあって、「世はまさに大海賊時代」もとい「大画面時代」に突入し、一般家庭で40型以上が当たり前になった。
ちなみにブラウン管テレビの出荷数を、薄型液晶テレビの出荷数が上回ったのは2005年頃と言われていて、買い替え需要はそれよりずいぶん前から始まっていた。そして、ブラウン管では部屋が広くないと置けない高嶺の花だった40型を超えるサイズについても、2007年頃から普及期に入っていた。その頃に「どうせなら大型で!」と、勢いでサイズを決めた人も多かったと思う。
なお、2012年の統計で40型以上のサイズが、出荷台数のほぼ半数となる「47%超」という結果もあるようだ。
そして、それってつまり「ゲームも大型テレビで遊ぶ時代になった」という話で。
離れてみるテレビの適正距離と画面のサイズ
「テレビは部屋を明るくして離れて見てね!」
というセリフは、ここ数年の子供向けTVアニメなどで冒頭によく使われるネタというかお約束みたいなものだが、これはゲームでも同じ。特に「離れて」の部分。
画面が大きければそれだけ大迫力にはなるけれども、TVは本来離れて見るものである。各メーカー毎に若干事なってはいるものの「適正視聴距離」というものは画面サイズでだいたい決まっていて、一般的にはテレビ画面の高さの3倍と言われている。画面の高さとメジャーなサイズで表にしてみた。
ハイビジョンテレビのサイズと適正視聴距離
型 画面サイズ 適正視聴距離 28インチ 62cm×35cm 0.9m~1.0m 32インチ 70cm×40cm 1.1m~1.2m 42インチ 93cm×52cm 1.4m~1.6m 57インチ 126cm×71cm 2.0m~2.2m
- サイズは説明の為、大ざっぱに算出しています。
この距離を遠いと見るか、近いと見るかだが、個人的には「比較的近い」と思っている。もちろん、遠ければ大画面の意味が無いからというのもあるし、実際は日本の間取りの事情でこれより近いケースもあると思っているし。そもそも「高さの3倍」もハイビジョンの横長になる前から言われていた話だし、16:9の比率は4:3に比べて同じインチ数でも高さが短くなっているし。
これについては「いや、そんなの別に知ってるし」というとても当たり前の話だけれども、これがリビングで寛ぎながら映画やドラマを見るのと、同じ部屋でゲームで遊ぶのでは全く持って意味が異なってくると考えている。
何が違うのか?というとゲーム特有の「UI」の問題が出てくるからで。
画面端の情報表示の重要度
テレビでドラマや映画を見る場合、字幕付きのバラエティーやドキュメンタリーだとしても、基本的には画面に対して中心だけを見て、字幕がある場合に一定方向(下または画面左右の一端)に視線を軽く動かすだけで済む。
というか、そもそも普通にテレビを見るだけであれば、画面端はあまり重要ではない。
だが、ゲームの場合は違う。むしろ「画面端の方が重要」となるUIの場合が決して少なくない。
アクションゲームなら点数や体力表示はもちろん、クエストなどの時間表示や、アイテムがある場合の装備品の表示、地図やキャラクタ位置の表示、オンラインでゲームをする場合は、仲間のパラメータやメッセージなどが、画面端に、上下左右に常に表示される。画面中央のキャラクター表示はもちろん重要だが、周りに表示される様々な情報も非常に重要だ。
なので、「画面が大きければ大きいほど視線を多く動かす必要がある」という事になる。
あくまでもゲームの場合だが。
ブラウン管だった時代は、大型のテレビは普及しておらず、それこそ14型~27型ぐらいまでが一般的なサイズだった。しかもワイドではなく標準タイプと呼ばれる「4:3」の比率の画面だった。
だが、今の時代はハイビジョン。「16:9」で横に長く伸びた画面は、映画などを見る場合には迫力があるものの、ゲームで遊ぶことを考えると「視線移動量が多くなる」という問題が出てくる。
冒頭の「最近はTVでゲームやると疲れるんだよね」の一つの原因はこれかもね?という話で。
まとめ
唐突にVitaの話になる。というか、最近「PS3とVitaのマルチタイトル」が結構発売されている。
そういう意味で、据え置きゲーム機とほぼ同じ内容を携帯ゲーム機で遊べるという時代に少々感動というか感慨深いものを感じたりするワケだが、実はここに先ほどの話が絡んでくる。
画面構成、UIが据え置きゲーム機と携帯ゲーム機で同じ場合、どちらが遊びやすいのか?という。*1
もちろん、ゲームの内容によって違うのは当たり前だが、掌の中で納まっている携帯ゲーム機の画面は、視線移動がとても少なくなるという点で、同じゲーム、同じ内容だったとしても印象は全く異なってくるという事があるのだ。
画面の解像度や大画面での迫力という意味では、携帯ゲーム機であるVitaは、ハイビジョン対応な据え置きゲーム機には当然及ばない、残念ながら敵わない部分。だけれども、大画面だからゲームが遊びやすいかどうかは全く持って別問題だ。それは、画面が大きくなればなるほど迫力と共に表面化してくる問題。
そういう意味で、据え置きゲーム機と携帯ゲーム機で同じタイトルが出ている今、まさにこれを比較して「自分に合うゲームプレイスタイルを考えて見る」というのも良い機会かもしれない。
たぶんこの話、「VitaでPS4のリモートプレイが出来る」という点で、どちらも楽しめる環境がすぐにでもきて、考え直す事になるんだろうから。
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