Vitaとnearとプレイヤーズカード
話の内容としては今更なんだけど、最近はVitaでnearを使ったタイトルもちょこちょこ増えてきたというか、今後が楽しみになってきたな?と個人的に感じている。
まだ、「革新的」とかそういう話ではないものの、単なるすれちがい通信っぽい機能ではなく、near ならではという感じの特徴も、少しづつ出てきたかな?という気がしている。
そんなワケでこの辺りの考察をいくつかしてみたい。
いくつか具体的なタイトルが出るけど、これはあくまでも一例で、他にもいろいろと挑戦的なタイトルはあるし、むしろこれから!だと思っている。
たのしみ。
・・・というか。Vitaの特徴の一つなのに、発売から1年も経ってしまっていて「nearって何?」が説明される機会も話も聞かない気になったというのもある。一応、公式にも説明はあるけど判んないよね。相変わらず、これじゃ。
ユーザーズガイド | PlayStation Vita
near
位置データを使って発見した周辺のプレーヤーや、フレンドの間で、どのようにゲームを楽しんでいるか情報を共有したり、ゲームのアイテムなどを共有したりできるアプリケーションです。
そもそも near ってなんだっけ?
「PSPにもPS3にもない、Vitaならではの機能ってなに?」という質問がされたとして、間違いなくそうなのに、たぶんほとんど注目されないであろうという機能が「near」だと思う。
すごい空気な存在。個人的にはすごい気になってるのに。
ま、そんな私個人の嗜好はともかくとして、「だってそもそも near って何か判んないんだもん」という人もいると思うし、それについては一応過去にまとめた記事があるので、いったんそこに誘導して、それから考察をしていきたいという感じの流れで。
で、過去記事はここ。
ま、上の記事は全部「長い」ので誘導するだけして「near機能」を簡単にまとめると、だいたいこんな感じになる。
near機能で出来ること
- 自分の現在位置を中心とした他のユーザーの諸情報を入手できる
- 現在位置と無関係にフレンドの諸情報を入手できる
- 自分の移動距離や発見したゲーム数、Vitaユーザ数などの統計情報が見れる
- 自分の近所やフレンドなどのプレイゲームのランキングなどが見れる
※「諸情報」とは、プレイ中のゲームタイトルやお気に入り度、nearに登録したゲームのデータ等
※nearで発見した他のユーザに「フレンド申請」を送ることもできる
という感じ。
Vitaが発売された直後から、near機能対応のゲームというのはもちろんあったし、Vitaのバージョンアップでnear機能の仕様やデザインが変わったりもしているけど、基本的なものは最初から変わっていない。
新作が発売されるたびにご近所のゲームランキングをチェックして、その変動っぷり(増えていく様)を見たりすると、人気ゲームの浸透ぶりがほぼリアルタイムに把握できたりするし、これはこれで面白い。
この中で、今回注目したいのは1つ目と2つ目の項目について。
nearがすれちがい通信と違う4つのこと
「すれちがい通信」という言葉自体は「ニンテンドーDS」が搭載した機能で、簡単に説明すると
- すれ違い通信
- ゲーム機同士が無線により、データを自動的に送受信する機能
となる。DSと3DSでまた違ったりするんだけど、上の言葉だけでいえば同じ。
そして、Vitaに搭載されている「near」は、これとまったく異なる。
- near
- ゲーム機がサーバに接続し、位置情報を含むデータを自動的に送受信する機能
となる。
nearはすれちがい通信と何が違うのかの特徴を4つあげると、
すれちがい通信と違う near 4つの特徴
- nearはゲーム機同士ではなくサーバに接続する
- nearは位置情報も含めてデータを送受信する
- 位置情報に関係なくフレンドの情報も送受信する
- nearはゲーム機同士の情報交換は非同期である
意外と見落とされがちなんだけど、「すれちがい通信」は「位置情報」は考慮されない。そもそもそんな機能(GPSという意味で)は持ってないし。
また、3つ目は上の説明に出ていない部分なんだけど、サーバを介するからこそ出来ることで、住んでいる場所が全く違う、位置情報と無関係な遠い場所にいるフレンド同士でもデータ交換が出来る。
そういう意味で、「near」という言葉は「ゲーム機同士が近い」という意味合いだけではなく、「身近な人」という意味でもあることが分かる。(テキトー)
あと、4つ目も見落としがちなこと。「ゲーム機同士」の場合は当然「同期通信」なんだけど、サーバを介するという事で各Vita間、ユーザ間のデータ交換は「非同期」だという事。
これ、自分も相手も「時間と場所に拘束されない」という事で。
何が出来るか以前に、「この違いだけは理解しておいた方がいい」のは間違いない気がする。
間違いって何か?という程の問題は無いと思うけど。
near機能を利用したアレとかコレ
冒頭にも書いた通り、nearの機能を使ったアイデアはまだまだこれから出てくるんだろうな?という感じで、nearならではというのも出てきている。
「ならでは?」
という意味では、前段の4つの特徴で整理すると判りやすいんだが、今回についてはこの中から「3番目」(フレンド交換)と「4番目」(非同期データ交換)について、実際のタイトル例でいくつか話をしてみたい。
ラグナロクオデッセイはカードとアイテムの放流交換
ラグナロクオデッセイについては、そういう意味ではもっとも標準的?と言えそうな使い方をしていると思う。
自分が保有しているカードや武器を near でネットワーク上に放流することが出来る。
放流したデータは自分のセーブデータからは消えないので、自分は損することは無く、気軽な交流が出来るようになっていて、放流した場所に行けば誰でも受け取ることが出来たし、その場所をあえて集中させれば、かなりの数を一気に集めることも出来た。(ただし、ゲーム内では登録可能な数の制限があったので楽できる訳ではない)
送る時は位置情報的な意味で誰にでも送れるものでもあり、また自分が登録しているフレンドに向けても送ることが出来た。自分が持っていてフレンドが持っていないものを交換ではなくネットワーク上で手渡すことが出来る。
今でも near を覗いていると、このゲームのカードや武器が結構落ちていて、活発な放流が行われていることが判る。
この放流されるデータ自体はゲームの内容、種類によってさまざまではあるが、near に対応している殆どのゲームについては、現在この使い方が多い感じ。
基本的にはこのスタイルが今後も主流にはなると予想される。
トレジャーパークは near と グループメッセージングの活用例
標準アプリではないけれども、PS Storeで無料でダウンロード出来る「トレジャーパーク」は、Vitaのシステムソフトウェア Ver.1.80 でのアップデートを利用した好例というか、活用例としてはとても判りやすくて良いと思う。
自分で作ったパネルを、near で放流し、それと合わせて他のプレイヤーのパネルを受け取る「ソーシャルパズルゲーム」という形で。
しかも、単なるパネルの放流だけではなく、プレイ結果も相互に交換できるようになっているという点も良くできている。
そして、この対戦成績を送る為に「near」だけでなく「グループメッセージング」の機能を利用しているという点でも、非常に特徴的な好例だと思っている。
ただし、複数の機能をまたがってしまう為、ゲームの起動時やネットワークに再接続した場合などに、それらの制御とデータ連携を行う関係で、処理中を示すダイアログが何度も出てくるという意味で、これはこれとして一つの課題になるな~という事を理解させてくれるものだったりする。
フレンドになっている人はポイントが合算されるランキングもあることで、フレンド間のパネル交換を促す仕組みもあるという点も興味深く、near は位置情報だけではなくフレンド間でのデータ交換が出来ることを示している。
デモンゲイズのゲイザータグは非同期プレイヤーズカード交換
先週発売されたばかりの「デモンゲイズ」については、「ゲイザータグ」という名前の機能がある。正直判りづらい名前だなーと思ったんだけど、モンハンで言う所の「ギルドカード」だし、ゴッドイーターバーストでいうところの「アバターカード」に該当する機能。
自分のパーティー編成、自慢の武器などの情報を公開する機能。
今までなら「オンラインプレイした人と交換」が基本だったと思えるこの機能だが、このゲームについてはこれを「near」で行うようにしている。
ゲームによって名前が違うので、ここでは「プレイヤーズカード」と呼ぶ。
オンラインプレイしてない状態でのカード交換という意味では、すれちがい通信でも出来たし、そういうゲームは他にもあるので、これだけを考えると「それ普通でしょ?」という感じがするが、少し違う。
「nearなのでフレンド間で公開出来る」事になる。
一緒に遊んでいなくても、その場にいなくても。既にフレンドの人であれば公開されたプレイヤーズカードは受け取ることが出来る。
ゲーム的には特にこのカードで何か有利になったりとかは無いけれども、適時公開し合う事で、相互に刺激を与え合う事も出来る。単なるパーティー情報だけではなく、そこに「自慢の武器」なんかを登録できたりする所がミソだと思う。
そして、その際には相手の都合(オンラインか否か)は全く考える必要はない。nearは非同期のデータ交換なので。
このプレイヤーズカード交換自体は、比較的応用が効きやすそうなので、他のゲームでも結構積極的に使われていきそうな気がする。
まとめ
タイトルの件。
「Vitaとnearとプレイヤーズカード」
については、前段の最後で書いた通りであり、すごい目新しい使い方だ!革新的だ!というワケではないものの、
「あぁ。nearの特徴をつかんでいるし、奇をてらっていなくていいなぁ」
と感じた。
今までと同じようにゲームでオンラインプレイで遊んだプレイヤー同士がプレイヤーズカードの交換をするというのも、良いことだと思うし、むしろそれは大事なことだとも思う。
でも、near を使う事でオンラインプレイをする要素の無いゲームでも、同じようにプレイヤーズカードの交換が出来るし、なにより自分も相手も時間と場所を拘束されないという点では、非常に気軽な存在として受け入れやすいだろうし、カードを送る側も押しつけがましくなくて良い。
また話は変わるが、トレジャーパークの様にVitaの他の機能と連動させる形での実装というのもなかなか興味深い。
Vitaで撮影したARな写真をnearでアップし、位置情報付きとなるARタグみたいな感じでたまたまその場所に行った人が nearで拾って「おおっ?!」(あのキャラが、この場所で、あんなことを!?)となる様な仕組みも出来るかも知れない。ネタとしてもネタじゃなくても。
それは Twitter や Facebook などのSNSとは違うコミュニケーションになるかも知れない。
nearそのものは Vitaの単なる標準機能の一つ。
だから「nearで何が出来るの?」というと、公式のページの様に曖昧なことしか書けないというか説明できない。それをどう使うかはアイデア次第だし、そういう形でいろんなゲームが出てくると、さらにまた違うアイデアにつながったりするだろう。
「nearって良く判んないし、いらない機能だよね」から「nearって便利だな。Vita おもしれぇ」になる。
その最初の段階として「非同期のプレイヤーズカード交換」というのは、案外いいアイデアなんだな?と、感じた。*1