トレジャーパークとnearの仕様変更 (Ver.1.80)
VitaのVer.1.80の機能変更点が多すぎて話題が尽きない感じですが、その中で同日に配信が開始された無料アプリ、「トレジャーパーク」についてちょっと書いておきたい。これ、「nearに完全依存したアプリ」という点でとても面白いので。
nearの仕様変更点
上の画像はVer.1.80以降の near のLiveArea画面。本当なら画面の左側の横線が並んでいるところにいくつかの情報が表示される。ここからして今までと違う。
Vitaを持っていない人や、今まで殆ど使ったことがない人にはなじみのない画面なので、何がどう変わったのか?という事がわかりにくいし、私自身も全てを把握できている訳ではないが、以下の4点の変更を確認できた。
その1.LiveAreaに現在情報の表示が追加
いままで、「更新ボタン」ぐらいしか意味を成していなかった LiveArea だったけど、今回のバージョンからこの画面の左側の横線のところに以下の情報が出るようになった。
- nearで発見したアイテムの数
- nearで発見したゲームの数
- nearですれ違ったユーザの数
- nearで移動した距離
アイテムについては、有効期限が設けられているので、累計ではなく現在値だがそれ以外は累計。値はすべて累計。なので、自宅でしか使っていないと、これらの数字はあまり増えたりしない。
「だって俺、Wi-Fi版だもん!自宅から持ち出したって意味ないじゃん!」
という人の為になのか、今回はこの部分の機能も強化された。次いってみよう。
その2.Wi-Fi情報の保存量拡大
公式サイトのアップデート情報にはこう書いてある。
near : Wi-Fiの情報を使った位置データの取得
インターネットに接続できる環境がなくても定期的に周辺のWi-Fiアクセスポイントの情報を記録し、あとでインターネットに接続したときにまとめて位置データを取得できるようになりました。
位置データを取得するためには、次の条件が必要です。
(near)>[はじめる]>[設定]>[位置データ]>[定期的に位置データを取得する]のチェックボックスをタップしてオンにし、設定を有効にしている。
(太字は筆者による)
なんとなく「このバージョンから出来るようになりました!」みたいに見えるが、実は以前のバージョンから出来た。ただし、以下の3つの条件があった為に非常に使いづらかったのだ。
- nearの更新間隔の制限
- Wi-Fi情報の保持数の限界
- Skyhookの登録情報のエリア
最後のSkyhookについては、そもそもVitaとは直接関係無いので改善のしようが無いワケだが、今回更新された2番目の項目が使い勝手をよくしてくれている。
なお、1番目の「更新間隔の制限」については、昨年12月~1月ぐらいの間は制限が厳しかった(最短10分、通常60分)んだが、ラグナロクオデッセイがnearに対応した時(3/26)には改善していたので、Ver.1.60ぐらいの時に修正されたんだと思う。そして、現在では「随時更新」が出来るようになった。
では、どれぐらい増えたのか?というと、正確な数値では把握できないものの、実際にここ2日ほど使ってみて明らかに違っているので書いておく。
Wi-Fi情報の取得はどれぐらい変わったか?
- Ver.1.60まで
- 自宅を出てから徒歩とバスと電車で移動、5km程度が限界(30分程度の距離)
- Ver.1.80
- 自宅を出て徒歩とバスと電車で移動、15km程度でも捕捉された(1時間程度の距離)
- 注意)
- 上記計測は全て「自動更新」によるものであり「手動更新」は行っていない
- 距離は私の場合の実測であり、移動手段および移動速度により距離は伸びることは考えられる。
今まで、nearの自動更新をONにしていても、会社ではWi-Fiアンテナが捕捉されることはなく、自宅に帰ってから情報の更新をしても、電車に乗っている途中の最寄り駅や、その隣の駅周辺までが限界だった。距離的に最大でも5km程度だった。*1
これは、最近は毎日のように持ち歩いているから感覚的には間違いは無い。
一方、バージョンアップをしてからは、この距離の問題はあっさり解決していて、会社でも捕捉されていた。位置情報もだいたいあっていた。
会社までは自宅から移動距離としては15kmぐらいはあるので、この移動間に行われた自動更新でのWi-Fi情報取得は保持されたまま、自宅に帰って再度更新した際に反映されたと言える。
このことからも、取得する情報量は倍以上になったと考えていいと思う。*2
なお、取得するWi-Fi情報は、その地域ごとにアンテナ数、密度が異なる為、単純に距離や時間で範囲が決められているわけではないと思われる。また、手動更新を頻繁に行った場合についても同様です。
その3.プライバシーエリア取得の明記
nearには「自分のアカウント情報を公開しない」というプライバシーエリア機能がある。
長時間移動をしない自宅や学校、会社などを設定しておくのが通常の利用方法だと思われるが、この設定をしておくとその地点から半径2km程度の範囲内で行われる nearの更新処理(手動更新/自動更新の違いによらず)については、自分のアカウントなどの情報は自動的に非公開とされる。
一見便利に見えるんだけど、情報の交換を目的としている near としては、「他の人の情報をもらいたいけど、自分の情報は出さないよ!」というのはアンフェアだからなのか、自分のアカウント情報を非公開にしている場合は、アイテムをもらったりは出来ない。なので、プライバシーエリア内ではアイテムを受け取れない。(フレンド登録してあれば、プライバシーエリア内でもアイテム交換は可能)
当然、他のユーザのアカウント情報も見れないのだが、今までこの「プライバシーエリア内かそうではないか」が、自分のアイコンの非表示かどうかでしか確認が出来なかった。(プライバシーエリア内だと自分のアイコンが表示されない)
これだと判りづらかったからなのか、今回のVer.1.80からは「プライバシーエリア内で情報を取得した為・・・」とお出かけ情報の中にメッセージが出るようになった。
なんか、かなりやっつけで入れたみたいでかなりダサいんだけど、とりあえず判り易くはなった。
その4.アイテムの自動取得
今までなかった・・・(勘違いならごめんなさい)と思うんだけど、Ver.1.80から「アイテムの自動取得」の機能が付いた。
この機能では、設定により以下の3種類の取得パターンを選べる。
- 今まで通り(手動によるアイテムの取得)
- 自分が持っているアプリの自動取得
- 自分が持っているアプリの選択自動取得
nearのアイテム取得の仕組みってすごく判りづらいんだけど、以下のようなものだと考えるとイメージしやすい。
nearからのアイテム受け取りの流れ
- nearにアイテムが届く (管理はnear)
- nearで欲しいアイテムを受け取る (ゲームのストックにコピー)
- ゲームを起動
- アイテムの更新 (ストックからゲーム管理に)
- ゲーム内で利用可能に (データ反映)
nearへのアイテムの受け渡しの流れ
- ゲームで渡したいデータを選択 (管理はゲーム)
- nearに渡したいデータを送る (nearのストックにコピー)
- nearを起動
- アイテムの更新 (ストックからnear管理に)
- nearで位置情報更新 (データ反映)
だいたいこんな感じ。
特に明記されていないしなんか怪しい存在として、ゲームにもnearにもそれぞれ「ストック」がある。このストックという存在は、ゲームやnearをそれぞれ起動していない状態でも受け取れる仕組みとしてあるらしく、基本的にはDLCやパッチなどの更新も同様の仕組みだと考えていいっぽい。*3
で。話を戻すと、今回の Ver.1.80 からこの「nearからゲームのストックへのコピー」の部分を自動で出来るような設定が増えたよという話。
これにより、いちいちnearを起動しなくても、自分が持っているゲームであれば、次々とアイテムが届く仕組みが出来るようになった。ゲームの内容やタイトルにもよるけど、非常に便利に使えるようになった。
そのメリットは、次のゲームが登場したことで判りやすくなった。
トレジャーパークとnear
配信されたばかりのパズルゲーム、「トレジャーパーク」。すごく大雑把に言ってしまえば「パズル交換ゲーム」と言う感じ。
このゲームについてはまた別エントリーを書くかもしれないけど、これはこれで非常に面白いと思う。ゲームそのものもだが、ゲームの仕組みとして near を使っているという事が。
このゲーム。前段の「アカウント情報の公開・非公開」の考え方と同じになっている。
「アカウント情報の公開をしていないとアイテム(パズル)を受け取れない」
のだ。なので、「プライバシーエリア内では受け取れない」という。つまり、自宅でプライバシーエリア設定をしていて、ひたすら近所の人が登録するパズルだけを人知れずこっそり遊び続ける・・・と言う事は出来ないのだ。
別に(パズルを受け取る条件として)自分がパズルを作ったり登録したりする必要はないものの、プライバシー情報の公開とセットになっているというのは非常に興味深い。
ただし、フレンドの場合は(1日10件の制限はあるが)グループメッセージ経由で挑戦状として送る事が出来るので、nearのプライバシーエリアとは直接関係なく送れる。そもそも、フレンドが近所にいるとは限らないですしね。*4
まとめ
トレジャーパークで自分が配布するパズルは同じものでも、別なものでも一日に何度でも送ることは出来る。
自分の位置が変わらなければ、取得できるパズルはなかなか増えることは無いだろうが、自分が位置を変えることで、取得できるパズルは当然増えていく。小まめに更新すればそれだけ受け取れる量は増えるだろう。
nearの更新時間の間隔制限が無くなったり、アイテムを自動的に受け取れるようになったりしたのは、まさにこのゲームの為だったともいえるが、こういう事が出来るようになってまた新しいゲームが生まれてきそうな気もしている。
また、Wi-Fi情報の取得量が拡大した事で、(その場での更新こそできないものの)GPSが無いWi-Fi版でも、持ち歩くことの意味合いが増えたのも事実。Wi-Fi位置情報システム自体は、都市部を除いてまだまだ足りなくて使えないという事も多いけど、公衆無線LANスポットは今後もまだまだ増えていくという話も結構聞くし、実際コンビニなどではずいぶん使えるところも増えてきているのは事実だし。
もちろん、GPSと3G通信が付いている3G版の方がnearの仕組みには向いているとは思う*5けど、Wi-Fi版でも外に持ち出すことに意味が出て来た・・・という点では、nearがより今後登場するゲームの要素として重要になってくる事を強く感じたのだった。
- 追記(9/3)
- 記事一部追加。というか、注釈を増量した感じ。
*1:プライベートエリアの設定が自宅から2kmの範囲となるため、それを超えてたまたまタイミングよくWi-Fi情報を取得できたときのみ更新可能だったのだと思われる。
*2:「倍以上」というか、容量が許す限り更新した際の情報を保持しておける様になったというべきか。今までも出来たけど、近場一回分でもういっぱいだったという感じが正解なのかも。
*3:なので、「なんかこのアイテム凄そうだなぁ。未だこのゲーム買って無いけど無くなっちゃう前にどこかにとっておきたい!」とか言うことは出来ない。nearがアイテムを送る先となるゲームのストック領域が存在しないから。
*4:送ることは出来るが、やはり勝手にもらうことは出来ないので、欲しい人は積極的に自分から送るか、トレジャーパークのLiveAreaのアクティビティーでフレンドに向けてコメントをしたりするといいんじゃないかな?とか思う。
*5:Ver.1.80において「GPS利用時の位置データの取得精度を改善」も項目にあがっていたりする。自分はWi-Fi版なので確認していませんけど。