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Vitaと体験版。その後

「今日は普段よりショート気味の内容で更新。まぁ、これでも長文の部類だけど。」

という書き出しで、以前、こんな記事を書いた。

前回は「体験版配信状況(5/23)」として「約40%」という感じで計算をしていた。

アプリも含めて。


それから5ヶ月程経ち、現在は11月。発売/配信済みのタイトルは前回の62タイトルから、倍近い122タイトルになっている。・・・ハズ。私の計算が正しければ。


というワケで、今日はその割合の再計算と、もう一つの視点。「配信タイミング」についてと「体験版の意味」について、スポット的にチェックをしてみることにした。

完全に個人の趣味的な調査。誰も得しない。


体験版配信状況について

前回と同じ表にしてみると、こんな割合になる。

体験版配信状況 (11/1時点)
  体験版あり 体験版なし 備考
パッケージ版 30 (25%) 45 (37%) 75 (61%)  
ダウンロード版 10 (8%) 19 (16%) 29 (24%) 有料
アプリ - 18 (15%) 18 (15%) 無料
40 (33%) 82 (67%) 122 (100%)  

【注釈】

  • 無料ゲームについては「アプリ」として集計
    • 例:みんなといっしょ、トレジャーパークなど
  • 基本無料ゲームについては「体験版ありダウンロード版」として集計*1 *2
    • 例:サムライ&ドラゴンズ、ガーディアンハーツオンライン、ピコットナイト

前回の調査結果(40%)より「体験版」の比率は下がっている(33%)模様だが、ゲームの配信タイトル数を考えても決して少ない方ではないだろう。アプリも含めたタイトル数での割合だし。うん。

発売前配信と発売後配信

体験版の配信(基本無料ゲームを含む)については、「体験版」という言葉からか、過去の体験版の配信の方法(発売された別タイトルに購入特典のおまけとして入っていたなど)などから「発売前に配信される」というのがなんとなく慣習化している感じがある。

だが、そもそも「体験版の定義」は「購入予定者が購入の判断を行う為の体験としての使用を一時的または一部について許可したもの」であり、別に発売前である必要性は無い。

とはいえ、ゲームを楽しみにしているファン、特にシリーズ物などでのコアなファンへのサービスとなる「体験版」という側面もあるので、一概に「後でもいいじゃん」と言い切れない部分はあるのだけど。


そんなワケで、現状のVitaに限った話として「体験版の配信日」を「発売日」と比較してみた。

体験版配信時期 (11/1時点)
  • 同時配信       11 タイトル (基本無料 3タイトル含む)
  • 事前配信       16 タイトル
  • 発売後配信      13 タイトル

案外バラついてた。同時配信は意外と少なかった。発売後配信、結構あった。うん。

評価版と体験版

動作環境が各個人でかなり違いがあるPCのゲームやアプリケーションなどは、「試用版」や「評価版」という名称のことが多いが、事実上「体験版」の配信というのは結構普通に行われている。

まぁ、ゲームの一部ではなく単なるベンチマーク的なものだったり、体験版とは名ばかりで事実上ダウンローダ(サーバからダウンロードしてくるだけのアプリ)という事も少なくは無いけど。

まだ普及率に比べて歴史が浅いスマホなども、毎年の様にバージョンがあがっており、機種も画面サイズなどの環境も半期、四半期単位でどんどん投入されており、結果としてパソコンなどと同じように環境の違いも多く出てきている。

その為か、スマホのアプリの中には「無料版」と「有料版」の2種類をリリースするタイトルも結構あるし、実際そのお蔭で「スマホは無料アプリが多い」という現象にもなっていたりする。


そういう意味では、動作環境が基本的に固定化される家庭用ゲーム機の環境の方が「例外的」とも言える。販売台数規模としては数百万台とか数千万台の世界なので決して小さくは無いけど。


動作環境が固定していようがそうでなかろうが、体験版を別に作るというのは面倒なのは事実。


上で書いたPCなどの「試用版」や「評価版」は期限付きなれども製品版と同じというアプリケーションも多く、ライセンスの購入だけでそのまま再インストールの必要なく継続利用できるものが多い。ゲームの世界では「解除キーの購入」という意味で「アンロックキー」という言い方も多いけど、その方法だ。


そうすればいいのに!


という話もあるんだけど、この方式だと(ゲームの世界では)ゲームのキャラクターのデータや各種画像、音楽などのゲームの核となる重要なコンテンツそのものを無料で事前に配信してしまうことになる為、それが何らかの手段で解除されてしまうとメーカーとしての不利益となる。この為か、一部のダウンロード専用タイトルなどを除いては、体験版を「わざわざ用意する」という事の方が多い。


面倒だよね。本当に面倒。

まとめ

ゲームを作るメーカーとしても、「初動で売り上げが大きく動く業界」という特性がある以上、出来るだけ事前に配信して初動につなげたいというのも事実だと思うし、私たちゲームを楽しむ側も「早く遊ばせてくれ!」と思うのもまた素直なところ。

とはいえ、いろんな事情があって「体験版を作るのだって楽じゃない」ワケで、本来の意味としての「購入予定者が購入の判断を行う為の体験としての使用を一時的または一部についてに許可したもの」として考えれば、後からの配信でもなんら問題は無いワケで。


むしろ。


ダウンロード版のゲームなどが今後多くなってきた時、今までのように「他のパッケージにおまけでつける」という事は事実上意味を成さなくなる。それに、そういう配布方法では「あとで購入しようと思った人には体験版は配れない」という事にすらなり、それって本当の意味での体験版じゃないよね?という話で、既に「体験版はダウンロード」というのも浸透してきていると思う。

そんなダウンロードという仕組みが一般化していく中では、「いつでも買える」という意識から「パッケージを発売日に買う」と拘る人は減少する可能性もあり、また「体験版が面白かったからその場で製品版をダウンロードする」という購入も発売日と無関係に行われていくことになるだろう。

そうなった時には「発売日前に体験版を用意する」という意味合いは薄れていくことが考えられる。体験版を用意する時期によっては、技術的や時間的な制約によりクオリティーが高くできない事情等も出てきて、折角の体験版なのに製品版の品質を体験できないことにもなりかねないだろうし。


とはいえ、最近では一方的にメーカー側が配布する体験版ではなく、事前にユーザ側の意見を取り入れるための評価版としての配信もダウンロードの仕組みの上で行われてきているし、それをユーザー側に求められても来ている。


ダウンロードが一般化すれば、いままでとは事情は大きく変わる。

この話は別にVitaに限る話ではないが、Vitaについては、今月から「PlayStation Plus」が始まり、「トライアル」が利用できるタイトルも出てくることだろう。メーカーが用意する体験版とは違う形での体験版だ。


そういう背景の中で、「体験版」というものの意味も、意義も変わってくるだろう。

それがどの様に変わって来るかは、今後のお楽しみだ・・・と思っている。

*1:本来の意味では「別に用意する体験版」ではないため、これらの基本無料ゲームについて「体験版あり」とするのは異なるとは思います。

*2:スマホやガラケーでよく遊ばれる基本無料となるソーシャルネットワークゲームについても、「体験版」という位置付けではないので、この点については例外的な解釈をしているという点にご注意ください。