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みた、こと。きいた、こと。

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販促的体験版のいくつかの形

PSVita COLUMN

先日体験版の話を書いたばかりだったが、昨日の5月28日に個人的に注目していたタイトルの体験版配信の話が出た。正直うれしい。

詳しくは、公式ページを見てもらうと、この後の話がスムーズに伝わるような気がする。

Dokuro(ドクロ)公式サイト

~骨太ギミックアクション~ ステージ3まで遊べる! 体験版先行ダウンロードチケット配布!

あの、ラグナロクオデッセイを開発したゲームアーツの新作。ひそかに期待している。

まぁ、ブログに書いている時点で「ひそかに」じゃ既にないけど。ガングリフォンのVita版とかは出しませんか?テグザーは事情的に難しいかもだけど、シルフィードもぜひお願いします。わーい。


そんなノスタルジーな個人的嗜好の話はともかく、この体験版の配布の方法があまりにも複雑だったので笑ってしまったのだ。

ただ、それはいい意味での複雑さで、ユーザ側はそれほど不便も手間も無い。むしろ、手間がかかっているのは明らかに販売側であるが、販促としては非常に興味深いと思った。


また、現在のVitaでは「体験版のバージョンアップ」とか「複数体験版」とか、販促的な視点での体験版の配布もいろいろ始まっているみたいなので、本来の事情はよく判らないなりに、その辺りをまとめておきたいかな?と、思った次第である。

なお、言いたいことの本題であるこの「Dokuro」については、最後の段落でまとめてある。(まとめの1つ前で)

従来の体験版の配布方法

パソコンの方ではなく、一般的な家庭用ゲーム機での話。一部の例外はあるものの、大雑把に分けるとこの3つだった。

  1. 雑誌の付録やイベント会場内でのCD-ROMなどの媒体による配布
  2. ゲーム内の特典として新作ゲームの体験版同梱による配布
  3. インターネットや専用端末からのダウンロードによる配布

この辺りの話は、以前も書いたことがある。

もちろん、これらの組み合わせによるものの場合もあり、最近の例では「新作ゲームを買うと、別の新作ゲームの体験版のダウンロードキーをプレゼント。後日公開予定だからその時にダウンロードしてね」みたいなものもある。

でも、個人的には今の時代に「ゲームを買わないと別のゲームの体験もさせてくれない」というのは、正直どうなのだよと思うけど。ゲームはメーカーで買うのではなく、内容やタイトルで買うものだと思うから。その為の体験版なんだと思うから。

販売後の体験版配信

一部のパソコンゲームなどの場合は、パッチなどによるバージョンアップも頻繁に行なわれており、そういう事情もあってジワ売れ需要というのがあったりするので、雑誌などの付録にかなり長期的に体験版が同梱されていたり、販売後に体験版がゲーム会社のサイトから直接ダウンロードできたりすると言うのはかなり一般的と言える。*1

でも、家庭用ゲーム機の場合は発売日直後の初動の瞬発力というのが殆どで、ジワ売れするタイトルはあるものの、後から体験版をやって買おうと言う流れはそれほどない。むしろ、既に持っている人とアドホック通信することで「ダウンロードプレイ」という方法での体験プレイ(それが可能なゲームが限定されるものの)という変則的な方式はあったけど。

この為、「体験版は発売日前に配信」というのが割と普通な認識だったりもするんだけど、そもそもの意味は「購入前に体験する為」であるので、販売後に体験版が配信されても別に不思議は無い。

当然これはVitaに限らない話なんだけど、Vitaの場合はPlayStation Storeからのダウンロードによる配布、販売が比較的手軽にできることから、前にも書いたけど体験版の配布は割と積極的で、販売後の体験版配信開始というのも例として結構多い。

具体的な例をいくつか出すと、

塊魂 ノ・ビ~タ
ローンチタイトルだったが、発売後約2ヶ月経った2月下旬に体験版の配信が開始された。
LORD of APOCALYPSE
ローンチタイトルだったが、PSP版の体験版バージョンアップと合わせて、2月下旬にVita版の体験版の配信が開始された。
モーターストームRC
製品版が3月下旬に発売され、その一ヵ月後の4月下旬に体験版の配信が開始された。

など。他にもある。

発売直後に買う、コアなファンが求める体験版はあくまでも「先に遊ばせてくれ!」「不具合があっても構わない!」というファンサービスとしての価値が強い。

もちろんそれも大事だが、体験版の配布が容易な環境があるからこそ、「後から購入する人」つまり「購入動機が薄い人」に対して、「納得して買ってもらうため」に必要な体験版というものがあり、それにはそれなりの時間と手間が必要なわけで。

そういう意味で「販売後の体験版」というのも、割と増えてくるんだろうな~と思っている。

体験版のバージョンアップ

体験版は無料で配ることが殆どである。当然、利益なんて出ない。

そういう意味で、本来は製品版と違ってバージョンアップをすると言うのは手間とコストがかかる以外にメリットなど無い。サポートもしないし、そういう意味では、「作りっぱなし」が殆どだ。

だが、Vitaでは過去体験版のバージョンが上がった例がある。

真・三國無双 NEXT
ローンチタイトルとして体験版も同時に配信が開始されていたが、製品版のパッチによるバージョンアップに合わせ、体験版もバージョンアップ(通称:ワラワラパッチ)が行なわれた。

製品版が体験版のアンロック形式の場合も、体験版でダウンロードしていてもバージョンアップする例もあるが、それは事情が異なるので置いておいて、上記の例はきわめて異例と言えると思う。

ただ、製品の売りである点を考え、より販促的な意味合いで考えたときに、「体験版のバージョンアップを行なった」と言うのは、非常に興味深い例だと感じている。

そういう意味で、ラグナロクオデッセイも「オンライン対応の体験版」(チャプター制限が体験版のみ。製品版の人も体験版クエストとして参加可能)とか配信すればいいのに?とか思ったりもする。このゲームはオフラインよりオンラインの方がはるかに魅力的なゲームだからだ。サーバーの負荷とか、準備の手間とかは置いておいて。

まぁ、大型アップデートがまだ控えていることを考えると、もしかしたらその後にでもしてくれないかな?とか思ったりもしているんだけど。

体験版の複数バージョン配布

何度でも言う。体験版は無料で配ることが殆どである。当然、利益なんて出ない。

同じ体験版でも、配布時期によってバージョンが若干異なっていたり、体験版自体がコレクターズアイテム化して、複数バージョンにすると言うことはもちろんあるけど。

そんな中、Vitaでも体験版の複数バージョンが配信された例がある。

スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!
6月発売予定。現在、「大人版」(配信4月)と「通常版」(配信5月)の体験版が二種類存在し、どちらもダウンロードして遊ぶことができる。

これ自体は、6月に発売するタイトルを、事前の4月、5月に体験版の配布という形で広告するという、一般的な認知度を上げる方法であり、特殊な例とは言えない。手間がかかるという点ではどれぐらいメリットがあるのかはともかくとして。

ただ、これも「配信環境が整っている」から出来る話で、従来のゲームメーカー側のサイトから体験版をダウンロードさせるという仕組みに比べれば、作る側も配信する手間が比較的軽いんだろうな?という気はする。

手間がかなり大きいので、今後増えていくことはあまり考えにくいんだけど、異なる客層に向けてアピールするための方法として、複数バージョン、バリエーションの体験版が存在したり、それぞれのDL数などを把握することで、メーカー側が戦略的に利用者層の把握・調査をするという事も出来るので、意外と興味深い使われ方をしてくるかもしれないと思っている。

「Dokuro」は挑戦的販促体験版

やっと本題。「Dokuro」の体験版について。

この体験版の話を見たときに「おもしろいなー」と思った。大雑把に言ってしまえば、今までの体験版の配布方法の組み合わせでしかないんだけど、この方法は挑戦的だと思うし、かなり意欲的だなーと感じた。

まず、今回の配布方法を整理すると、以下のようになっている。(公式サイト参照)

日付 配布元 内容 St.1 St.2 St.3 St.4~
6/6 店頭 先行体験版DLチケット ×
6/14 PSStore 通常体験版 配信 × × ×
6/21 PSStore 通常体験版<更新> × ×
6/28 PSStore 通常体験版<更新> ×
7/5 店頭/PSStore 製品版発売
  • 製品版は体験版からのセーブデータ引継ぎが可能
  • "St"は「Stage」の略であり、遊べるステージ数を意味します
  • 上記"内容"は筆者の解釈です。詳細は公式サイトを確認してください

普通の感覚で見れば「うわ何これめんどくせぇ」になるんだが、Vitaは一度インストールしてしまえばLiveAreaからのアップデートは簡単なので冒頭にも書いた通り手間はそれほどでもない。むしろ、更新の度に遊べる範囲が広がるという意味で、体験版なのに無料DLC状態とも言える。

ユーザ側からはそう見えても、配信側にとってはこのめんどくささは、準備も含めて手間なのは間違いない。でも、この手間は売る側としてはとても重要だったんだと思う。

そのカギとしてのポイントは3つ。

Dokuro体験版の戦略的価値
  1. 先行体験版は店頭での配布のみである
  2. 先行体験版は6/27までステージが多くアドバンテージが確保されている
  3. 配布元とダウンロード時期で別々に集計が出来る

である。

Vita用のタイトルとして6/7に「ガンダムSEED BATTLE DESTINY」が出る。店頭で本体ごと買う人はいると仮定して、店頭では店員さんが(どうせ無料だからと)先行体験版のDLチケットをおまけでつけてくれるだろう。いや、本体買いはともかくパッケージ版で買う層での解釈でもいいけど。

であれば、この期間に先行体験版をダウンロードする人の割合には「ロボット好き」な人が多いと推定できる。全部じゃないけど。ロボット?っていう強引な推定はまとめに書くとして。

また、翌週の6/14には「ペルソナ4G」が出る。やはり店頭で本体ごと買う人がいると仮定して、同じように配るだろう。通常体験版のダウンロードも始まるが、遊べるステージとしては先行体験版の方にアドバンテージがあり、配る意味も残されている。本体買いについては・・・。うん。

であれば、この期間に先行体験版をダウンロードする人の割合には「ペルソナ好き」な人が多いと推定できる。ペルソナ好きってどういうジャンルだよという気がしなくもないけど。

そして、通常体験版のダウンロードも始まっており、こちらをダウンロードする人は「店頭に行くほどではないけどアンテナ感度は高く興味を持ってくれている人」の層と言えるだろう。

翌々週の6/21は大型タイトルこそないものの、ステージが更新される。この時期に新規にダウンロードする人は先週とまた違う層だろうし、LiveAreaでも更新を告知できるだろうし、これによって「体験版を直ぐに消さないでいる人」がある程度わかるだろう。LiveAreaの活用度や効果もある程度わかるかもしれない。

そして、最後の6/28は「MGS HD」が出る。PSVitaの白モデルも出る。通常体験版も先行体験版と同じく既にステージ3まで配信されているものの、先行体験版に価値がなくなったわけではなく、残っていれば店頭で配られる意味は残されている。

この期間のダウンロード数を、店頭先行配信版か、通常体験版かとして可能な範囲で詳細に見ていけば、現在のVitaの利用者層や、購買層、今後の販売や告知ルートなどの方法を考える上でも、自社のリサーチとしてある程度活用ができるんじゃないだろうか。かなり大雑把なものだとしても。

そういう意味で、このやり方はわりと戦略的な配布方法だと思い、そこまで妄想を広げてしまった自分に笑ってしまったのだった。

まとめ

長くなったけど、まとめ。

「本当にそんなことできるの?そんなこと考えてるの?」

という点については、正直「知らんがな。あくまでも自分の妄想だがな」である。

ただ、ここまで手の込んだ体験版の配布方法と言うのは、自分の知る限りあまり例がないので、何らかの意味はあるんじゃないかな?とは思っている。


先行体験版で既にStageが3まで遊べることや、一ヶ月以上も前に配信スケジュールを公開したことを考えても、このゲームは既にほぼ完成していて、今回はあくまでもマーケットリサーチの1つとして使おうとしているんじゃないか?と、邪推している。

個人的には「そんなことより早く販売してくれ!」という思いもあるものの、そういうリサーチ目的なんだとしたら「やるなー」という気持ちが高い。本当にどこまでリサーチ出来るのかは業界人でもないしサッパリわからないんだけど、単なるダウンロード数などの集計値であれば特に問題はないと思っているし、この例であれば割といいんじゃないの?と、思っている。


それはそれとして、6/6の週に「先行体験版」をダウンロードする人が多ければ、「ロボット好き」が多いって判断してくれませんかね?

いや、ロボットというのは強引な感じなんだけど、この人数が多ければ今後の製品開発に影響があるとなるとかなり気になるんですが。

たとえば「ガングリフォン」とか「テグザー」とか「シルフィード」とか。そういうのに影響しませんでしょうか。

ダメですか?

お願いします。かなりホンキで。

*1:そもそもPCの環境によっては動いたり、動かなかったりのリスクもあるので、体験版は「動作検証用」という意味合いもある。