読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

みた、こと。きいた、こと。

あとで、かく。ここは分館。記事一覧は「右メニュー」から。

Vitaと「体験版」

今日(2/23)、Vitaに2つの体験版の配信が開始された。が、今回は既に「販売済みタイトル」の体験版。

ゲームが一番売れるのは通常「初動」なので、その初動をどれだけ増やすか!において、「発売前に体験版を配信する」というのは、一つの戦略としてかなり有効であると思われる。

もちろん、「体験版を用意する」という手間は、製品版を作る中で面倒には違いないだろうけど。

そんな風に考える中、この2つのタイトルのことを振り返ると、Vitaの体験版についてちょっと面白い事になってきているんじゃないのか?と思い至ったので、この辺も書いてみる。


体験版の歴史

歴史と言うほどの話でもないんだけど、今日までを振り返ってみると、体験版にも歴史がある。

雑誌の付録による配布
パソコンなどの場合、CD-ROMなどに体験版を入れて雑誌などで特別付録として配布したりしていた。雑誌の特集記事とあいまって、かなり効果的だったと思っている。ただ、これが出来るのはパソコンなどに限られていて、独自のカートリッジとなるゲーム機は、このやり方は実質できなかった。
ゲーム内特典での配布
新作ゲームを買った人に、次回新作ゲームの予告ムービーや体験版を配布していた。これは結構多く見られた。ただ、まず「ゲームを買う」という必要があるので、誰にでもというワケではなかったし、また自社ゲームとなる為、同時に複数開発しているようなよほどの大手でもない限りは正直難しい対応だった。
イベント会場などでの配布
ゲームショーなどの特定のイベントにて、体験版を配布する方法。場所が限られる為に数も限られたし、なによりコレクターズアイテム以上の価値にはならず、コストも高いので事実上行なわれていない。
専用端末による配布
ゲーム機が汎用メモリカードを実装するようになり、専用カートリッジ以外でアプリが配信できるようになった。この為、ゲーム機が繋がる専用端末をイベント会場や家電量販店などに設置し、利用者側が端末を持ち込む形でダウンロードできる形式。最近でも主流の一つである。
インターネットによる配布
専用端末を解さず、ゲーム機自体、あるいは他の機器を経由して利用者側が直接ダウンロードできる形式。PS Vitaは主にこの方式。

大雑把に言うと、こういう流れがある。パソコンなどでは、とっととインターネット配布になっていたりするものの、ゲーム機はその仕様が独自である為に、どうしても回りくどい形をとってきていた。

冒頭にも書いた通り、そもそも体験版をメーカーが製品開発で忙しいさなかに用意する手間に比べたら、ユーザー側の手間なんて高が知れている話ではあるが、ユーザがいざ興味を持って見たところで、体験版までのハードルが高く、「面倒だからいいや」という事になったり、体験版自体の配布が時期的にかなり前倒しになってしまい、ユーザが遊んでから製品版までの時間が長くなってユーザの興味が薄れてしまうという状況を生んだりしていた。

体験版一つの話でも、結構いろいろ問題はあるわけである。


体験版と製品版

配布の歴史は上に書いた通りだけど、「体験版」と「製品版」はそもそもパッケージとして考えた場合に3種類存在する。え?カートリッジとダウンロード?あとは何かって?いや、そういう分け方とはちょっと違います。これはゲーム機に限らない話でして。

アンロック方式
製品版と体験版は同一内容/パッケージであり、体験をした後に購入の意思があれば、ロック解除のキー/ライセンスを購入し、以後は製品版として使える。セーブデータなどは継続して利用することが出来、アンロック自体は比較的手早く出来る。ただし、体験版として考えた場合のボリュームは大きなものになる。
別パッケージ方式
製品版と体験版は別パッケージとして提供される。体験版のデータの引継ぎなどは出来ないのが一般的。購入したい場合は、新たにパッケージをダウンロードする形となる。ダウンロードではなく、新規に(カートリッジなどの別メディアとして)購入も可能。
バージョンアップ方式
体験版は製品版のバージョンアップ前として位置付けられ、パッケージとしては別とされる。体験をした後に購入の意思があれば、製品版(バージョンアップ版)を購入・ダウンロードする形となる。セーブデータなどは継続して利用する事が出来る。バージョンアップにはダウンロード環境などが必要。

とまぁ、大体上の3つに分けられる。

あたりまえじゃん?って思われるかも知れないけど、体験版を用意するメーカーは、これを考えなくちゃならないワケで、利用者の事情なんか正直知ったことじゃない!と、思う。どう考えても、面倒だよね。これ。

この中でも、比較的楽なのは「アンロック方式」だ。事実上、内容は製品版と同じでよく、個別のパッケージとして用意する必要もないのだから。ただ、「体験版なのに製品が完成していないと用意できない」という本末転倒というか事前に用意できないというスケジュール上の問題もいえる課題がある。

どちらかと言うと、この方式は体験版というより「評価版」という言い方をされることが多いかもしれない。

メーカ側として次に楽なのは「別パッケージ方式」だろう。全く別物にはなるものの、製品版と体験版を分けて考えられるので、早期の段階で用意することができ、比較的早めに公開することも出来る。バランス調整などができていなくても、データの引継ぎを考えなくていいし。

ただ、楽とはいえ「別物を用意する」という時点で、面倒であることには違いない。しかも、かなり。

次の「バージョンアップ方式」は、どちらかと言うとパソコンの世界で多く使われている方式かも知れない。メーカ側も、アンロック方式と合わせて整理することが出来るので、まだ使わせたくない機能などはロックしたまま公開とし、将来的に製品版のバージョンアップに合わせて順次ロックを解除していくことも出来る。

これらのどれを使うかは、もちろんメーカーによっても異なるし、ゲーム内容によっても変える話で。

どれが優れているとか、どれが劣っていると言う話ではない。

いずれにせよ、メーカー側が手間であることには違いはない。


Vitaの体験版の面白い事って?

2012年2月23日、今日現在。数え間違いがなければだけど、Vita専用アプリとしては発売されているものは、37タイトルある。内、無料のタイトルを除くと、32タイトルになる。

少ない少ないと言われるVita専用アプリだが、一応これだけあるという事だ。

で、体験版の配布状況は?というと、これも数え間違いがなければ以下のタイトル分だけ出ている。

2012/2/23現在の体験版配布状況

  1. 12/17 ダーク クエスト アライアンス
  2. 12/17 AR COMBAT DigiQ ともだち戦車隊 無料版
  3. 12/17 真・三國無双 NEXT (2/16 体験版 V/UP)
  4. 12/17 パワースマッシュ4
  5. 12/17 極限脱出ADV 善人シボウデス
  6. 12/17 真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト)
  7. 12/17 サワリ・マ・ク~ル!
  8. 12/22 RIDGE RACER 2011 E3 インタラクティブデモ
  9. 12/27 GRAVITY DAZE/重力的眩暈
  10. 12/27 アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-
  11. 1/12 忍道2 散華
  12. 1/17 WipEout 2048
  13. 1/19 ラグナロク オデッセイ
  14. 1/19 STAR STRIKE DELTA
  15. 1/25 墨鬼 SUMIONI
  16. 1/26 テイルズ オブ イノセンス R
  17. 2/9 リアリティーファイター
  18. 2/23 LORD of APOCALYPSE 「ロードの誘い」
  19. 2/23 塊魂 ノ・ビ~タ
  • 日付は体験版配布開始日

「リアリティーファイター」は今日発売。前述の32タイトルの内、19タイトルが「体験版あり」の状況だ。

どんだけ体験版でてるんだよ!という感じ。

デパ地下の食料品売り場の試食状態と言えるかもしれない。


また、興味深いのはこれらのタイトルの内、いくつかは「製品発売後に体験版の配布が始まった」という事。

特に、「忍道2」は製品発売から約1ヶ月後、今日から体験版が配信が開始された「LORD of APOCALYPSE」と「塊魂 ノ・ビ~タ」は、いずれもローンチタイトルだったワケで、発売から2ヶ月以上経っての体験版の登場と言える。

「体験版は初動を増やす為だけのものではない」

という、一つの動きの表れではないだろうか。


私たちの生活は日々多様化している。そんな中で、メーカー側の都合で決まる発売日は、当然ユーザの生活と一致するとは限らない。

たまたまその時にお金がなかったから購入できなかった・・・時間がなかったからできなかった・・・という人が、改めて購入する気になるには、結構なハードルがある。その間にも時間は過ぎ、また生活は変わっていくのだから。


メーカーが発売日に初動として沢山売りたいのは、今後も変わらないだろう。作るのに使ったお金をどれだけ早く回収するかは重要な命題であり、死活問題でもある。

一方、一度作ったタイトルが、継続して売れることはメーカーにとってこれほど都合がいいものはない。それがどんなに小数であっても、リスクがなくリターンがあるのであれば、悪いことなど何もないのだから。


そのきっかけを生む為に、体験版を用意しておくことは、メーカーにとってはユーザへの敷居を下げ、初動に限らず購入意欲を生み出す新たな戦略になり、またユーザ側も体験版で購入前に事前に確認できることで、安心して購入が出来るようになる。

機会を逃していたとしても、改めて触れて、既に発売されている製品であれば、その場で思い切って買うことも出来る。



体験版の登場する数が、今後はどうなるかわからない。


でも、今の段階で「体験版がこれだけ出ている」というのは、結構おもしろいことだと感じている。