携帯ゲーム機とオンラインゲームの課題(2)
コミュニケーションと操作性と拡張性
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前回の続き。今日ぐらいしか更新できないだろう的な感じで。
繰り返しになるけれどもこの一連のレビューについては「PSO2のサービスそのものについてどうこう」というよりも、「Vitaで遊ぶオンラインゲームについての課題」に向かっていく話という所がメインです。
むしろ、個人的に率直な感想としては「課題いっぱいあるなぁ」と思ったぐらい。
あ、「課題」って「問題」でも「不具合」でもないですから。
運営側の努力によって改善することもあると思いますが、サービスとしての仕組み上はもちろん、システム側の制約によるものも多々あり、利用者側の理解が必要な部分があるなぁ?とかそういう話で。
で、今回はその中でも「コミュニケーションと操作性と拡張性」について。
っていうか、PSO2って「コミュニケーション手段」はすごい豊富なんだけど、これを「携帯ゲーム機に落とし込んで考えた時の課題」ということで。
なお、以前「Vitaとゲーム内コミュニケーションの相性問題」(リンクは上部関連記事部分参照)なんてタイトルで記事を起こしているので、それがベースになっていたりします。
PSO2の5つのコミュニケーション手段
PSO2はマルチプレイヤーオンラインゲームである。
同時プレイヤー数が「パーティー4人」だとか「マルチパーティーエリアだと12人」とかいう以前に、そもそも数百人どころか数万人単位で同時に接続されて一緒にプレイをしているオンラインゲームである。
クエストに出ている時は人数制限こそあれども、ロビーについてはもう「あれ?12人以上いない?」というのがPCはもちろんのこと、Vitaでも普通だったりする。これ、何気に普通であるということはすごい事なんだけど、数字が出ている方が判りやすいからか、あまり話題にならない。
まぁ、それはどうでもよくて。
で、いざPSO2を遊んでみると、PSO2のプレイヤー間のコミュニケーション手段は5種類あることがわかる。
PSO2のコミュニケーション手段
- (1) テキストチャット
- もっともメインのコミュニケーション手段。ゲーム中、あらゆる場所でテキストチャットは可能。ロビーだろうが、クエスト中だろうが、マイルームだろうが。パーティーを組んでいれば、違うエリアにいても、一人だけロビーに行って様が関係なしにチャットできたりする。フレンド同士やチームの場合はブロックを超えてもチャットできる。
- (2) 定型文チャット(ショートカット/オートチャット)
- PSO2のある意味で非常に特徴的なのがこの「定型文チャット」だ。正確にはシステム固定ではなくて、自分で任意に入力・編集できるんだけど、ショートカットとして登録しておくことで、スムーズな意思疎通が出来る。また事前にゲーム中に発生する操作やイベント、アクシデントに対応したメッセージを登録しておくと、自分は入力していなくても勝手にしゃべってくれる。凝った吹き出しなども作れるのが特徴。(噴出しはテキストチャットでも指定できるが、入力の手間を考えると定型文の方が利用頻度は高い)
- (3) エモーション/アクション
- PSO2としては「ロビーアクション」と呼ばれているけれども、別にロビーじゃなくてもどこでも出来る。手を振ったり、首を振ったり、踊ったり、座ったり。パソコンの場合はキーボードのショートカット(Alt+Mなど)で指定できるけれども、Vitaの場合はメニューから選ぶしかない。
- (4) メール
- (1)~(3)まではリアルタイムなコミュニケーションとなるが、非同期のオフラインコミュニケーションとして「メール」もある。相手のオンライン状況と無関係に届き、また過去の履歴を遡って見ることも出来る。メールについては、受け取った際にオンライン状態であればすぐに通知が来るので判りやすいし、テキストチャットや定型文チャットでログが大量に流れていく中、見落とされにくいし邪魔にならないという意味でも、相手の邪魔をしないという意味で使い勝手はよい。
- (5) 非リアルタイムコミュ(グッジョブ)
- メールと同様に非同期のオフラインコミュニケーションとして「一言メッセージ送信機能」、通称「グッジョブ」がある。一緒にパーティーを組んだ人や、クエスト中に遭遇した人にメッセージを送ることが出来る機能である。もっとも、メインの利用方法としてはFUNポイントが貯まるので、フレンド間でFUNポイントを稼ぐために送りあうというのが常態化している節はある。なので、大事な話はメールの方が見落とされなくていいかも。
という。この他にもフレンド申請やチーム参加申請などもあるんだけど、それらはコミュニケーションというよりもキャラクター、プレイヤー間の関係、リレーションの為の機能であり、一度申請すると以後は意味が変わるという点で、コミュニケーションとしては扱わない。
で、5つ。
正直、過去に発売されたVitaのオンラインゲームの中でこれだけの機能を全て持っているゲームは今のところない。
比較的オンライン機能が強力なのは「みんなのゴルフ6」だけれども、メールも一言メッセージも無い。ただ、これはPSNの機能の「グループメッセージング」などを使えば出来るので、ゲーム内に無いだけなんだけど。
そう。実は、今回の記事の肝は2つある。
1つは「PSO2はPCとの連動」であること。もう1つは「Vitaにおけるコミュニケーションの機能拡張性」について。
PCとVitaのコミュニケーションの課題点
PCとVitaを単純に比較するのは、それこそ無茶な話で、車と自転車を比較しているようなもの。いや、せめてバイクでもいいけど。
「なんでもできるよ!」というPCに比べ、出来ることが限定されるゲーム機のVitaとゲーム上で連携・連動する必要があるPSO2については、単純な意味で「全てのコミュニケーション機能を実装していなければならない」という最も大きな課題がある。
PSNはSNSと呼ばれるほどのコミュニケーション機能は乏しい。いや、以前に比べればVita登場の前後あたりからかなりコミュニケーション機能やサービスは増えてきているから、決して乏しいと言い切るのもアレなんだけど、世間一般の認知として「PSNはSNSと呼ばれることは無い」という感じだと思う。
個人的には同じと思っているんだけど、そこはまた別の話なので置いておいて。
そして、PSO2に関しては「PCで動作する」という関係と、そもそもセガのサービスであるという関係上、PSNは直接的には関係の無いサービスとなる。あくまでもVitaを使う上でPSNと連携しているというだけの話で。
なので、「全てのコミュニケーション機能を実装していなければならない」となる。
PC/Vita間でコミュニケーションを取るにあたっては。
もちろん、上記の5つの手段を全て実装する必要は無かった訳だが、PCのオンラインゲームについては、携帯ゲーム機と歴史が違う。機能が足りていなければ、それはサービス品質が劣っていると思われてしまう世界。
「水は高きより低きに流れる。人もまた然り」とはよく言うものの、ことサービスについては一度上がった高きから低きに流れることは許されないというのは、人の業だよね。うん。*1
Vitaにおけるコミュニケーションの機能拡張性
そういう意味で、PSO2のコミュニケーション機能は、Vitaで普段遊んでいる人が触れている以上に高機能(高サービス)と言えるだろう。
だが、だからこそ、PC/Vita間でのコミュニケーションとしての課題点は大きく3つあると考えた。
PC/Vita間でのコミュニケーションとしての課題点
- PSNを利用できない
- フレンド申請などは全てPSO2上であり、PSNのフレンドとは無関係。だが、VitaユーザはPSNのフレンド機能に慣れている
- 招待状を利用できない
- Vitaでは最近オンライン対戦・協力プレイが出来るゲームは招待状を送れるが、この機能が利用できないので事前にPSNのメッセージ機能などで通知・連絡できない
- ボイスチャットが利用できない
- PSO2にはボイスチャット機能は無いものの、PCにはSkypeなどがあり、テキストチャットとは別にボイスチャットも利用できる。一方、VitaもSkypeがあるが、これはゲーム中の利用は出来ない。Vita標準のボイスチャット機能である「パーティー」はPCには存在しないため、相互に利用は出来ない
となる。
そう、PSNを使う前提のVitaにおいて、ことコミュニケーションという点においてはサービスプラットフォームが異なることでの大きな隔たりと呼べるものが出来てしまうのだ。
ま、そこを重視しない人にとっては関係ない話なんだけど。
実は、これを整理すると「Vita側の問題」と言えない部分がある。
というのも「Vita自体はPSNというサービスプラットホーム上でこれらのことが出来るようにシステムデザインされている」のであり、相手がPCで無ければ別にこの課題は存在しないのだ。
なら、PCが悪いのか?というと、もちろんそういう話でもない。そもそもテキストチャットやアクション、ゲーム内のメールなどはプラットホームに関係なくゲームとして機能を実装しておく話であり、PCだVitaだは関係ない。オンラインか非同期かも関係なく。
話があちこちに飛んでいる感じがするが、そもそもの前提として「PSO2で出来ているコミュニケーション手段は全てVitaでも出来ている」というのは、それはそれですごいことなのだ。UIの違いによる操作上の利便性はともかくとして。
ただ、それを踏まえた上で、逆に言うと「Vitaだからこそ欲しい機能」や「今後の機能拡張性」は考えていいと思う話で。
そして、その「拡張性」は、Vitaにおいて十分に手が届く、可能なところにあるというのもまた現実的な話としてあって。
まとめ
PCとVitaのもっとも異なる点、ゲーム内のコミュニケーションにおける違いは実は整理すると「キーボードの有無」と「他アプリケーションの組み合わせ可否」の2つになる。
Vitaはソフトウェアキーボードであり、どんなに取り繕ったとしても入力についてはPCのキーボードの操作感に決して敵わない。だが、キーボードを含めてノートPCと言えども本体サイズがどうしても大きくなってしまうPCに比べ、両手でこじんまりと持て、カバンや上着のポケットにも入るサイズのVitaでは、携帯性という意味では明らかに勝っている。
「コミュニケーションの密度って何?」
という話をすると、ここ何年かで大きくイメージが実は変わっている。
古くはメールや会話の量、時間、ボリュームなどが重視されてきたが、昨今はそれらは比較的短く、大事なのは「繋がっていること」にシフトしてきている。
手紙はもちろん、メールで数日単位でのやり取りから、数時間、数十分に短くなり、今では「常時繋がっている前提」のアプリなども沢山出ているし、何より短いメッセージでの即時性の方を重視される傾向がある。
そう。密度は「内容の濃さ」から「時間の短さ」に変わってきているのだ。
そいういう意味で、PSO2のPC版にくらべ、Vita版はメッセージの量が減ることはあるだろうけれども、頻度は上がるであろう事が予想される。画面タッチでの定型文のメッセージはもちろん、本来非同期だったメールやグッジョブなども手軽にアクセスできることで頻繁になり、それが新たなコミュニケーション密度としてPC/Vita間で相互の刺激になる可能性があるかもな?と感じたのだ。
操作が違うことはコミュニケーションにおいてもっとも重大な課題だ。
だが、その課題を問題として否定するのではなく、拡張性のある中でメリットにする事は出来る。拡張性が無ければ、無理でも、あればサービス側、利用者側の双方の理解によってそれは変わってくるものだ。
出来ないことも、限界もあるのは否定できないが、それでもPC版、CBT段階でのVita版のPSO2をそれぞれ触って持て、現状サービス内でのコミュニケーションの質の違いこそアレ、その違いはさほど問題ではないな?と、感じたのだった。
*1:昔、そんな日記を書いたことがある。⇒ http://ikotoba.hatenadiary.com/entry/20060711/1152579049 (本館)