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VitaとPSPの世代交代時期 (2)

このブログ的にはあまり販売台数的なところは触れないできたんだけど。

昨年の12月にPSVitaが発売されてから約11ヶ月。もう少しで1年だ。

同じような書き出しで、今年の7月にVitaとPSPの販売台数の推移について自分なりの考察をした。

この時に、「PSPからPSVitaへの移行、世代交代は始まっていると考えても問題なさそうかな?」と書いた。

この感想自体は今でも特に変わっていない。

今日は個人的な解釈としてその辺りの話を自分なりにまとめておく。

そういう意味で、妄想が足りないので面白みは無い話かも。


・・・もともとか。面白みが無いのは。


普及モデル的にはVitaは未だイノベーターの時期

社会学者エベレット・ロジャーズが普及学として確立したことで有名な「ロジャーズの普及モデル」というのがある。

別にソレに拘るつもりはないんだけど、書き出しとしては判りやすいのでこれで説明すると、このモデルの中で、商品などが普及するまでの過程として「採用時期によって採用者を5つのカテゴリに分類」している。「採用」という言葉より今回については「購入」に読み替えた方が判りやすい。

で、その5つのカテゴリというのは、以下のような分類になっていて、現在Vitaは「イノベーター」のカテゴリの人たちにしか売れていないと感じている。

ロジャーズの普及モデルの5つのカテゴリ
カテゴリ 購入時期 割合
イノベーター 最初期 約2.3%
アーリーアダプター 初期 約13.6%
アーリーマジョリティー 中期 約34.1%
レイトマジョリティー 中期/後期 約34.1%
ラガード 後期 約15.9%

Vitaについていえば、携帯ゲーム機としてかなり尖った製品といえるだろう。いろんな操作系が追加されたり、ネットワーク依存型になっていたり。そういう新しそうな所に飛びついた人たちがイノベーターであり、そういう人たちは最初から尖っている人たちだ。

無論この「尖っている」についてはいい意味も悪い意味もあって。*1

発売日当日にかった自分も含まれるとして。


大事なのは次に続く人たち

ロジャーズの普及モデルの中でも、最も重要なのはイノベーターの次に続く「アーリーアダプター」だといわれている。

どういう役割なのかを簡単に書くと「自ら情報を集め、採用についての判断を行い以後多数の採用者から評価を得る」というものになる。

イノベーターよりもとても大事な存在。

なぜ大事なのかというのは、それっぽい表現をすればこう説明される。

「社会一般の価値観からの感性の乖離が小さく、自ら集めたイノベーター等から発信された情報について適正な価値を判断し、採用するか、また新たな価値観や利用法について提示する役割を担う」

と。

イノベーターな人たちが「これスゲェ!」とか「これウメェ!」とか「これヤベェ!」と叫ぶ様々なことを、ホントに凄いのか、ホントにうまいのか、やばくて問題とかは無いのか?を一般的な価値観で判断し、より問題が無く、より適正に使う方法などを見極め、次に繋げる人たち。それが、アーリーアダプター


大変重要。


少し前にビジネス用語的によく使われた言葉としては「オピニオンリーダー」とか「カリスマリーダー」とかそういう人たち。影響力の高さから「インフルエンサー」なんて言い方もされてた。そういう人たちのこと。


まとめ

冒頭にも書いたけど、もう少しで発売1年になるVitaについては未だ「イノベーター」しか買っていないんだろうな?という話で考えている。PSPを捨ててでも買い換えていいと思う人、PSPは不要と判断してVitaを購入した人、新しいものに興味があってとりあえず手に入れてみた人。その他、それぞれの購入動機はさまざまなんだろうけど。


そして、イノベーターは今後増えるということはない。


この割合は市場の規模を「購入時期」で分けるものであり、前提として市場の規模が変動するものではないし、また購入時期を変化させるものでもないからだ。

つまり、現在の毎週の販売台数の落ち込みは単にこれ、イノベーターに浸透しきった事を示しているだけの話だと思っている。その時期は既に過ぎたのだ、と。


なので、これからもっとも大事といわれている時期。

これからの人たちが「買ってもいいかも」と思うきっかけを増やすこと、作ることが大事な時期。

そういう観点で、スターターパックとかボーナスパック、新色などの投入がこの時期なのは結構ありなのかな?と思っている。あと、なんか使い方解説動画みたいなのも公開されきてたし。タイミングとして合っててそれもいいんじゃないかな?うん。

はじめてのPS Vita (公式)

※ 動画ばかりではなく、基本的な機能や使い方などの解説もページ内で充実してます。今後も追加予定みたい。


ただ、言うまでも無くきっかけというものは一つで決まるものではない。複数のきっかけが重ならなければ、人はなかなか購入に踏み切ることはない。特に値段がある程度高く、慎重にならざるを得ないものは。


なので、そのきっかけを増やすことが、今後より重要に、大事な時期になったといえると思う。そして、このカテゴリの人たちが迷うことなくVitaを買い始めたとき、それをもって「始まった」ではなく「PSPの世代交代時期が来た」と考えても良いだろうな?と思っている。*2 *3

それはまぁ、もう少し先の話だろう。1年とか2年とか。


でも、それほど遠い話ではないと思う。

関連記事

※ 今回の「はじめてのPS Vita」の動画と違うけど、同じようにコミュニケーションについて解説している動画を紹介。

*1:よく誤解されがちだが、新型ゲーム機の「イノベーター」は「コアゲーマー」とは限らない。むしろ、ゲームで遊ぶことに一途なコアゲーマーは、新しいゲーム機に対して慎重で、様子見をする人も多い。もちろんイノベーターの中には一部の「コアゲーマー」も含まれるが、ゲーム機ファンだったりゲーム機に限らないガジェット好きだったり、単なるネタや話題性だけで欲しがったりする人たちが多い。その為、ゲーマーの視点とは限らず、基本的に「尖った」意見が多くなることが多い。

*2:今、PSPを買っているのはカテゴリ的に「ラガード」の人たち。先日の値下げはそのラガードの人たちに向けて行われたものと考えられる。また、このラガードの人たちは(想定としてジャンルがPSPと同じである)Vitaのイノベータにもアーリーアダプターにもならないと考えることが出来るので、今の時点でこの人たちに向けてVitaをアピールしても買わないと想定できる。

*3:誤解されやすい点だが、「ラガード」の人たちはもともと「採用する人たち」だ。採用しないかも知れない人ではない。最終的に時期がものすごい遅いけれども採用する人たちという意味で、そもそも採用する気がない人や、ターゲット外の人たちについてはこの分類には含まれない。(というか考慮しない)