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機種依存からの開放とゲーム利用者層のシームレス化

数日とはいえ、Vitaの記事で更新が止まっていた。

だからと言って、Vitaを全く触っていないんじゃなくて、逆にずっと触っているんだけど、文字通り「P4G」しかやっていなくて、更新する内容が無かった・・・というのが正しいところ。

もっとも、Wi-Fi版で家用!と、決めていたのに休日出勤する時の時間が惜しくて持ち出して、電車の中で意気揚々と起動したら、スタート画面が「自宅仕様」になったままで、視野角の広い有機ELの画面で満員電車の中でかもされるという辱めを受けたのはよい想い出です。皆さん気をつけましょう。


さて、さて。それはともかく。


今日は特大のおもしろいニュースが飛び出てきた。

別にVitaに関係するとはどこにも書いてないんだけど、関係しないと考える方がナンセンスな話しで。

ニュースはあちこちにあるんだけど、とりあえず公式だよね。こういう時こそね。

ソニー・コンピュータエンタテインメント、米国Gaikai Inc.を買収
SCEならではのインタラクティブなクラウドサービスを実現し、 新たな価値創造を目指す~

詳しい話は、こことかニュースサイトを見てもらえれば!と、思うわけだけどこれによってVitaってどうなっちゃうの?不要になっちゃうの?とか、そういう所を(内容的には少しだけだけど)絡めて話をまとめておきたい。


すげー、ワクワクする。

なお、個人の妄想を膨らませた内容ですので実際のサービスと異なる部分があります。

クラウドゲームサービスって何?

今のところ、まだすごい広まっている!という感じではないんだけど、既にサービスとしてはスタートしていて、かなり期待と共に人気があるサービス。

昨今の「クラウド」という言葉と合わせてなんか単に流行っぽい事としているだけ?という話でもなくて、これはこれはすごい事。

上記プレスリリースから引用すると、

2008年に設立されたGaikaiは、様々な機器に高品質なゲームをインターネット経由でシームレスにストリーミング配信することが可能なプラットフォームを開発しています。

なんだけど、ポイントは「ストリーミング」。

「ストリーミングって言うとあれでしょ?動画とかの配信サービスでしょ?でも、画質とか悪そう。あと、遅延とかひどそう」

という心配もあるかもだけど、そこがこの「プラットフォーム」のとても重要なところ。逆に言うと、動画配信サービスとかと全く違う形でストリーミングを実現していることでインタラクティブなゲームでそれを楽しむ事ができているという話。

だからすごい事なワケで。

いまいちすごさが判らないかと思うので、例を挙げて解説してみる。

「買い物のお使いを頼んだお父さんと子供の違い」

お母さんが、夕食を作ろうとしたら食材がいくつか足りない事に気が付いた。

そこで、スーパーまでの買い物を頼もうと思うんだけど、マンガばかり読んでいる子供と、TVを見てゴロゴロしているお父さんの2人がいたとする。そして携帯電話がある。どちらに頼もうか?という話し。

ゲームと何の関係が?という感じだが、ここから先がこの「ストリーミング」の違いになる。

子供にお使いを頼んだ場合

たぶん、子供にお使いを頼んだ場合はお母さんは大変だ。

お菓子コーナーなら子供も詳しいかも知れないが、足りない食材となると話しは別。比較的いつもお母さんと一緒に行っていたとしても、コーナーがどこにあるかを子供が場所を覚えている筈が無い。

なので、

「スーパーについたら電話しなさい」「ついたよー」「調味料のコーナーに行って」「どこ?」「真ん中辺り」「どこ?」「お菓子コーナーより奥で、お肉のコーナーの手前」「あった。塩とか置いてある」「そこ。いつも使っている胡椒を買ってきて欲しいんだけど」「どれ?」「黒い奴」「沢山あるよ」「いつも使ってる奴」「わかんない」「えーっとね・・・ラベルの周りが金色で・・・」

という。大変だ。

お父さんにお使いを頼んだ場合

お父さんにお使いを頼む場合はお母さんは楽だ。

滅多に行かないスーパーだろうが、そこら辺は臨機応変に対応する。

なので、

「この胡椒買ってきて欲しいんだけど」(メモを渡す)
「あー、もしもし。今、調味料のコーナーにいるんだけど、荒挽きってのもあるけどどっちだ?」
「そうそう。荒引きでいいよ。ありがとう」

で済む。

まぁ、問題はお父さんの場合は気が利き過ぎてケーキとかビールとか余計なものを買ってきてしまう可能性があることぐらいか。ビールは違うか。

役割分担とプラットホーム

技術的な難易度とかそういう話ではなく、「相手がどこまで理解しているか。どこまで処理させられるか」を明確化し、出来る部分を任せきることで、効率的なストリーミングは実現される。

今回の話は、よく例として「ゲーム機でもスマホでもパソコンでも同じゲームが遊べるようになる」などと評されるし、実際にそういう形が理想としてあるワケなんだけど、その「どちらがどこまでやるか」の部分を作りこんだものが、今回の「プラットホーム」と呼ばれるものになるのだ。

もし、お母さんが買い物に行くついでに小まめに子供に調味料売り場とか食材を(子供が嫌がらなければだが)教えておけば、結果的にはお父さんと同じにメモと携帯電話を渡せば済むようになる。買い物に時間が掛かるかもしれないが、ちゃんと買い物はできるはずだ。

子供だからと言ってダメなワケではなく、どこまで任せるかな話し。

プラットホームというのは、そういうものと言えるんじゃなかろうか。

機種依存からの開放

前段はかなり脱線した感じがあったが、今回の話としてはやはり重要なポイントはここ。

「様々な機器に」

の部分。そして、現実的な話として

「様々な(ゲーム)機の」

が付く。機種依存や互換性からの開放と言ってもいい。

例えば古いゲーム機が新しいゲーム機になるときに必ず話題になる「互換性」。でも、統一されているプラットホーム上で対応されているのであれば、「様々な機器に」同じゲームを提供する事が出来る。

また、新しいゲーム機を考える時には、前の機種の機能を実現するのではなく、統一されているプラットフォームに対応してさえいれば、「様々なゲーム機の」ゲームをそのまま提供する事が出来る。

当然、そのプラットフォームを作る必要があるが、過去の様々なゲーム機一つ一つに対応する必要はなくなるので安心だ。そしてそれは決して難しい事ではないだろう。

新しいゲーム機のライフサイクルが速くなる。

・・・あれ?それでいいの?

スマホでいいって話?Vitaって不要になるの?

無論、問題がある。

いくらプラットフォームが統一されたからと言って「全てのゲームが全て快適に遊べるとは限らない」という大前提はある。

言わば、どんなに速い車があったとしても、田舎のあぜ道では速度は出ないし、向き不向きはある。

「様々な機器に」といっても「全てが快適に遊べる」ワケではないわけで、スマホでは画面操作は苦手になるだろうし、そもそもパソコンに比べたら決して速いとはいえない。

ただ、役割分担をすることで、スマホでも「様々なゲーム機の」ゲームが遊べるということである。ただそれだけであって、決して快適とは限らないが、快適に遊べる可能性はある。その快適さもまた万人が同じとも限らなくて。


人にはそれぞれ「好み」がある。

端末のサイズはもちろん、画面の大きさ、バッテリーの持続時間だとか、コントローラーの形とか、いろいろだ。

需要も多種多様だ。

でも、プラットホームが統一されているのであれば、その部分は「好みで選べばよい」という話になる。


昨今のスマホ、たとえばAndroidなどは通信キャリアごとに様々な機種を出しているが、基本的な部分は同じ。これは、プラットホームが統一されているからこそできる事で。

そうなった時、Vitaにできることは何か?というと、スマホにできない事は沢山ある。

アナログスティックやボタンが物理的に配置されている事はもちろん「様々なゲーム機の」ゲームを遊ぶ上ではかなり重要な要素となる。

また、画面サイズも据え置きのTVやディスプレイには及ばないものの、スマホよりは大きく迫力を持って楽しむ事が出来るだろう。

そこまで不要な人にとっては、Vitaである必要はなくなるが、必要な人にとっては「Vitaがいい!」という人も出てくる。無論逆に「スマホやタブレットPCの方がいい!」という人も出てくるだろう。画面の大きさとか携帯性の面で。


同じゲームを遊ぶにしても、同じ機種である必要は無くなって来る。

だが、「様々な機器に」といっても、その機種に無いものは利用する事ができない。

カメラ然り、GPS然り、アナログスティック然り、しかり、しかり。

無くても遊べるものは沢山あるとはいえ、無くては遊べないものや、無いと快適でないものについては、あることがそれぞれの機種の、デバイスとしてのアドバンテージになってくる。


まとめ

なんだか長ったらしく書いたけど。

実は、個人的に一番重要だと思っているのは「操作系の統一ができること」だと思っている。

クラウドゲームサービスは、あくまでもソフトウェアとしてのサービスだ。ハードウェアは各社が提供していく事になる。

今までは、遊びたいゲームソフトがあった時に、そのゲームソフトが動くゲーム機を買う必要があった。

それ自体は特に問題とは言えないが、コントローラーは各社まちまちで、その度に持ち方から何から覚えなおさなくてはならなかった。ものによっては、ゲームはおもしろいのに手の大きさ、指の大きさが合わなくて疲れるという問題も出てきていた。

でも、クラウドゲームサービスの場合は違う。どんなゲームであれ、自分が遊ぶハードウェアは同じで遊べる。ボタンの操作はゲームによって違うかもしれないが、ゲーム機の持ち方は変わらない。自分の慣れたスタイルで遊ぶ事が出来る。ゲーム機に合わせて自分を変えるのではなく、自分に合ったゲーム機でゲームを楽しめる。

これ、すごく重要な事だと思う。携帯機でも据え置き機でも。そんなのどうでもいいよ!という程の話し。


そして、次に重要だと思っているのは「ゲーム利用者層のシームレス化が起こる事」だと思っている。

英語としては「継ぎ目の無い」という意味になるが、様々なハードウェアが統一されたプラットホーム上に存在できる事になり、ゲームを遊ぶ人が「ライトゲーマー層」だとか「ヘビーゲーマー層」だとか「コアゲーマー層」だとかに「所有ゲーム機のハードウェア」で分かれる必要も、分ける必要も無くなる。


自分が持っている機械で遊べるゲームを遊ぶ。

自分が遊んでいるゲームで、性能的な意味や操作性の意味での限界を感じたら、もっと遊びやすい何かに乗り換えればいい。特に不満が無ければそのままでいい。

ゲームを楽しむのに自分がどこの層かなんて関係ない。


遊びたいものを遊びたいとき*1に遊べるだけ遊ぶ。遊べない時は手軽に済ませればいいし、その垣根はハードウェアで設けるものではなく、自分の生活の中で、自分の時間に合わせて柔軟に。以前は分けていたそれらの層を、自分の都合と遊びたいゲームに合わせて行ったり来たりすればいい。

そう、思っている。

そして、今回のこの発表は、そういうことも出来るんじゃないかな?

と、思っている。

*1:「遊びたいときに」といっても、クラウドである以上、オンライン環境が必須となる為「いつでもどこでも」という点については課題、というか現時点では問題がある。