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ゲームより重要な標準アプリ

Vitaで遊んでいると感じることがある。

というか、このブログではちょこちょこ話題には出しているんだけど、Vitaにはやっぱり「もっといろんな標準アプリが必要」だし、「ゲームよりも標準アプリの充実と拡充が必要だよな」と。

いや、ゲームももちろん必要なんですけどね。

とはいえ、そのゲームは標準アプリというか標準機能をかなり使っていることが多くて、むしろそれが増えるときっと今まで以上にいろんなゲームが出てきそうな気がしているから。

むしろ、その点に関してだけ言えばスマホよりも期待していたりする。

今回はそういう感じのことを書いておきたい。

別にVitaが新技術!って話でもないんだけど、それでもVitaにとっては重要な話だと思うから。

今まで、標準アプリって使っている人いたの?

従来のカートリッジ式(UMBも含む)の場合、ゲームとゲームを繋ぐことはセーブデータを使うぐらいしか出来なかったし、ゲーム起動中にゲームと直接関係ない様なアプリなどを使うという事も、基本的には出来なかった。

パソコンや一部の据え置き機のゲームの場合は、HDDにインストールすることができるとか、元となるゲームデザインのコンセプトが携帯ゲーム機とはかなり異なる。電源周りも携帯ゲーム機に比べれば、バッテリー切れなどを意識する必要もなく、メモリも十分に確保できていた。

そんな感じで事情が異なる関係で、携帯ゲーム機においては、ゲームはカートリッジで切り換えるみたいな使い方が普通で、ゲーム機自体をカートリッジに合わせてがらりと変えるみたいなところがあった。

この為、「標準アプリ」という存在はあまり意識されることがなかったといえよう。

もちろん、今までもシステムソフトウェアというものはあり、その中には「標準アプリ」も存在していた。

でも、それは本当にオマケ程度にしか理解されていなかったと思う。

そもそも、カートリッジを入れると、システムソフトウェアが自動的にゲームを起動し、システムソフトウェアに戻るという事は、携帯ゲーム機ではそれほどメインの使われ方ではなかったといえよう。(動画や音楽の再生を小まめにする人ぐらいだったのではないだろうか)

そういう意味で、今まで。携帯ゲーム機においてはゲームとシステムソフトウェアは全く別物という認識の方が高く、システムソフトウェアに含まれる各アプリも「ぶっちゃけいらなくね?」という人は結構多かったと思う。*1

Vitaはカートリッジ式でもゲームが自動起動しない

PSPの場合はUMDを背面のスロットに挿入し、リセットをするとゲームが自動的に立ち上がる。

なので、ゲームを入れ替えるときにはUMDを入れ替えるごとにリセット・・・というのが普通の使い方。入れっぱなしでもよいし、その場合でもスリープはもちろん、電源を落として再立ち上げすれば、やはり自動的に起動していた。

Vitaの場合は少し違う。

Vitaカード版のゲームをスロットに挿入し、リセットをしてもゲームは自動的には立ち上がらない。

メニュー画面内にアイコンが1つ表示されるだけである。一応、リセット直後についてはカード認識時にアイコンが一定時間点滅するので、そのアイコンがVitaカード版だと理解することはできるが、スタンバイ状態から復帰した場合などは特に点滅はしないため、ダウンロード版との存在自体に違いはない。

それは、ゲームだけではなく、各種アプリについても同様で、アイコン表示としてはその存在自体はシステムソフトウェアだろうが、ダウンロード版のアプリ/ゲームだろうが、Vitaカード版だろうが区別は付かない。

Vitaが起動した後に何で遊ぶのか、何をしたいのか。

それは、利用者側がアイコンをタッチすることで初めて実行されるものだ。

ゲームもアプリもVitaにとっては等価値と言えるのかもしれない。起動モードの違いこそあれども。

標準アプリって使えないじゃん?

Vitaにとってゲームもアプリも等価値だとかいっても、実際に標準アプリを使うと不満が一杯になったりすることはある。

「標準アプリ、使えないじゃん。もっと使えるの出してよ!つーか、いらない」

という人も、結構入ると思う。その意見については前半はなんとなく同意するところはあるものの、冒頭にも書いた通り私は「標準アプリはいる。たくさん欲しい」と思っている。

ただし、私が欲しいと思っているのは「ゲームで遊びたいから」であり、標準アプリをそのままで使いたいというワケではない。

なんか、矛盾していることを言っているように感じるかもしれない。

「それじゃ、等価値じゃなくてゲームの方が重要なんでしょ?標準アプリいらないじゃん?」

と。

ちがうんです。ゲームが標準アプリを使っているから、いや使うからこそ必要なんです。

ゲームと標準アプリの関係

昔の携帯ゲーム機みたいに「ゲームで起動したらリセットするまでゲームは起動しっぱなし」という人にとっては、ゲームとは異なるとなる標準アプリの存在は、正直見えないし、気付けないかも知れない。

でも、例えばカメラの映像を取り込むゲームがあった場合、そのカメラの操作は誰がしているのか?というと、どちらかといえばゲームではなく標準アプリ側だ。ゲームは標準アプリ側にカメラの操作の代行をお願いしているに過ぎない。

最も判りやすい所としては、PSStoreでの買い物だ。特にダウンロードコンテンツ

ゲーム内からダウンロードコンテンツを手に入れようとすると、ゲームは(ゲーム側で把握している購入用のコードを使用して)PSStoreの標準アプリを起動し、ユーザに購入を促している。ゲーム自体にはPSStoreのサーバと直接通信する為の仕組みはなく、あるのはPSStoreのアプリとの通信の部分のみ。

カメラ、PSStoreに限らない。nearやフレンド、トロフィーなども結果としては同じだ。

ゲームがトロフィーの管理をしているのではなく、標準アプリのトロフィーがゲーム側でタッセイした内容を管理し、必要に応じてサーバと同期を行ったりしている。

そもそも、スクリーンショットもゲーム側が許可をしているかどうかだけであり、機能自体は標準アプリが行なっている。ゲーム側は特に何もしていない。

この様に、標準アプリによりゲームは様々な機能が実現できるようになっており、ここが沢山あり、中身としての機能がしっかりしていれば、ゲームを作る人はかなり楽して新しいことにチャレンジできる。

PSNへの接続やアカウントの認証なども全く同じ。ゲーム側が行なっているのはあくまでも標準アプリを介した申請だけであり、認証などについては全て標準アプリが行なっている。この為、別々のゲームでもPSNアカウントを利用するゲームの場合は、PSNへの接続画面は同じ画面が表示されている。(そういう意味で、ネットワークエラーが出た場合、ゲームサーバ側のこともあるし、標準アプリを介したPSNサーバとの接続に起因することもある。この辺りはとても複雑だ)

標準アプリの役割

前述の通り、ゲームといえども標準アプリの存在は非常に大きい。

というか、ゲーム側で権限として禁止されている一部の機能について、標準アプリ側がゲームに提供しているという構図になっている。ゲームはもちろんいろいろな遊びを提供するものだけど、Vitaというシステムを使う上では、セキュリティーの面でシステム側が提供したものしか使えないという面が出てくる。

これは、ゲーム側の表現の限界でもあるが、その部分は配慮しなくてもお作法として利用すればよいものになるので、結果的には開発期間の短縮や、開発規模の圧縮などにも貢献する。

特に、Vitaの場合はこの標準アプリによりゲーム側の機能が拡充されていくという構造が顕著であり、いくつもそういう例がある。

例えば、マップ。「勇者のきろく」と「モンスターレーダー」のアプリ、ゲームはどちらも地図が表示されるが、モンスターレーダーは独自の地図を持っているのに対し、システムソフトウェアとしてアップデートにより標準アプリとして「マップ」が提供された後の勇者のきろくでは、ワールドマップとしてGoogle MAPを使っている。標準アプリのマップの機能を利用しているものと思われる。*2 *3

例えば、GPS。現状、位置情報を利用するゲームやアプリはいくつか出ているが、GPSのアンテナを持たないWi-Fiモデルも同じゲームを起動して遊ぶことは出来る。精度の問題はあるので「モンスターレーダー」については「3G/Wi-Fiモデル推奨」となっているが、起動は出来る。これは、位置情報はシステムソフトウェア側で管理しており、ゲームやアプリ側はその情報を受け取っているからだけで、GPSのアンテナを直接制御したりしていないからだ。

例えば、3G通信。3G通信がある場合とない場合で利用できるエリアは変わるものの、ゲーム側でその切り替えや制御を行なう事はない。3G通信を行なうかどうかは、GPSと同様にシステム側で管理しているもので、ゲーム側は全く気にする必要がないからだ。ただ、通信速度などの問題はあり、それはゲームによって必要とされる基準は異なるため、ゲーム側で必要とするデータ量に応じたアンテナ感度などをアイコンで表示している。これはゲームにより指標は異なり、場合によっては切断やリトライなどの制御はゲーム側が行なっている。*4

例えば、Facebook。「みんなといっしょ」では、名刺交換するロビーに「Facebook部屋」が出来た。これが対応したのは、Ver 2.00の時で、3月29日。システムソフトウェア側がFacebookに対応し、設定画面にアカウントを入力できるようになったのは、Ver 1.60で、その前の2月8日のことだ。この対応により、みんなといっしょでFacebookのフレンドとアカウントをいちいち入力する必要がなく名刺交換が出来るようになった。なお、Facebookのアプリが配信されたのはみんなといっしょより後で、4月3日だった。

一方、Twitterは、発売と同時にアプリは配信が開始されているが、未だにシステムソフトウェア側での登録する設定はない。この為か、Twitterにタスクの達成状況をツイートできる「勇者のきろく」では、連携のたびにTwitter IDを入力しなくてはならない。(勇者のきろくのセーブデータに独自に保存するという事もできるんだろうが、それは多分ポリシーの問題でやっていないものと思われる。なぜならば、みんなといっしょはTwitter連携の吹き出し表示の為にアカウントの登録メニューがある。))

例えば、動画録画。まだ対応予定のままだが、「ニコニコ」では動画の投稿と生放送の配信の機能実装が計画されている。これについては遅れているようだが、発表当時は4月頃に実装したいといっていた。そして、標準アプリのカメラが「動画録画」に対応したのは 2月8日。あとはニコニコ側の対応を待つばかりと言ったところのハズ。そして、TV電話の様に通話が出来るSkypeのアプリが配信されたのは4月25日。たぶん、偶然ではないだろう。

この様に、システムソフトウェアのアップデート、標準アプリが追加されたり、機能が加わると、ゲームやアプリのできる事も広がってくる。

標準アプリの役割というのは、かくも重要なもの・・・だと思っている。

まとめ

よく、「Vitaのソフト不足」と指摘されている。いわゆるキラータイトルが未だなく、本体購入の牽引となるようなタイトルがないという意味で。

実際、ゲーム機である以上、ゲームとしてのタイトルに魅力がなければワザワザ買おうと思う人、欲しいと思う人はいないだろうことは間違いない。

それは当たり前のことなんだけど、それよりも重要なのは「標準アプリが充実すること」だと思っている。

というか、それがしっかりと出来上がれば、ゲームを作るメーカー側は今まで以上に様々なアイデアを実現できるようになるし、その開発も標準アプリで出来る部分の開発を省略することが出来、開発費は抑えられるし、開発期間も短くなるし、ユーザ側も使用感が共通化されれば使い勝手は良くなる。悪い事なんかなんもない。

ただ、それが揃うには時間がかかる。それが揃わないと出来ないものも多く、どうしても足が遅くなってしまう。

今発売済みのゲームに「Vitaならではの機能を使ったシステムってないよね」と言われると、それはVitaならではとなる標準アプリが未だ揃っていないからだと思う。それらが登場して初めて、それらを使った新しい遊びとしてのゲームが登場してくるんだと。

今はまだ、そういう状態なんだと思っている。

だから、これからも標準アプリが増えることを期待している。標準アプリ単独では使い道は少なくても、ゲームやアプリとして組み合わされた時に「そういうのいいね!」というものができると思う。

いろんなものが。

そういうの、すごく楽しみにしている。

新しいゲームの発表はもちろんだけど、アプリや機能の発表も同じぐらい楽しみにしている。少なくとも私は。

*1:当然、ゲームというものはシステムソフトウェア上で動くものなので、いらないという事はないが、その存在を強く意識する必要はなかったし、あるかなり控えめな存在だったといっていいだろう。それ自体に興味があったり、ゲーム以外のアプリを切り換えて使うのが日常的だった人を除いて。

*2:Google MAPの場合は、地図データもオンラインで取得する必要がある為、オフラインでも遊べるという意味で、モンスターレーダーは地図情報を独自に持っていることには意味はある。Google MAPを使えばいいというものでもない。

*3:Google MAP の地図自体は、設定 の near のプライバシー設定で表示していたので、この部分を単独の標準アプリとしてマップとして切り離したものと思われる。

*4:通信はゲームにプライオリティーが与えられていないらしく、ゲーム中でも各アプリは通信を利用することが出来る。この為、データ通信をかなり頻繁に行なうゲームの場合は、他のアプリの通信の発生により通信速度が低下した場合に、ゲーム側として切断が発生するケースなどがある。具体的にはアクティビティの表示やnearなどを自動更新ONにしておくと、通信対戦が不安定になるシステムも存在する。