VitaとDLCとコラボ
自分は買っていないゲームなので今まで話題にした事はないんだけど、先日ちょっと驚きのニュースがあって調べた事があった。
そのゲームの名前は「RIDGE RACER(リッジレーサー)」。
1993年にPlayStation(当時初代)で発売され、来年で20周年になる有名すぎるほどのタイトル。Vitaではローンチタイトルとして登場したものの、ボリュームの少なさなどで(PlayStation Storeの☆として)評価がかなり悪かったのは記憶に新しい。いや、新しくも無いか。既に半年以上前の話だし。
自分が買っていない理由は、リッジレーサーは初代PS時代で卒業してしまったから。つまり、R4まで。ずいぶんレースゲームというジャンルから離れていたので、今はいいか?という感じであまり意識してなかっただけ。
でも、今回気になるニュースが出てきて、「あー。Vitaとしてはこういうのもひとつの形としてありかもな?」というイメージが沸いたから。
その辺りの話を書いてみたい。なお、いつもの通り妄想話です。相変わらず長いです。
リッジレーサーのDLC数は無限大?
私が驚いたニュースは2つある。1つは、リッジレーサーのDLCの数だった。
正確には数というより「弾数」という表現が正しいのだろうか。5月の配信で「第18弾」となっていたからだ。「段」ではなく。
発売当初のボリューム不足を「DLCで稼いでいる」という事も言えるかもしれないが、だとしてもその数はある意味で異常。5月という点でも発売からちょうど半年(約180日)ほどの間に18回というのであれば、10日に1回の計算だ。どんだけ。
一応、公式のページでも見れるんだけど、記事にするに辺りまとめてみた。
リッジレーサー DLC一覧表 (オリジナル)
No. 配信時期 BGM マシン コース その他 備考 第1弾 2011/12/22 2 デモアプリ 体験版
ではない第2弾 2012/1/12 2 第3弾 2012/1/19 1 第4弾 2012/1/26 1 第5弾 2012/2/2 1 第6弾 2012/2/9 1 第7弾 2012/2/16 2(*1) DL権 リッジレー
サーパス第8弾 2012/2/23 1 1 1 第9弾 2012/3/1 1 1 1 第10弾 2012/3/8 2 1 第11弾 2012/3/15 2 第12弾 2012/3/22 1 1 第13弾 2012/3/29 1 1 1 第14弾 2012/4/5 1 1 アバター
パック第15弾 2012/4/12 3(*1) 第16弾 2012/4/19 1 1 1 第17弾 2012/4/26 1 2 2 第18弾 2012/5/10 1 1 合計 約6ヶ月 25 10 6
今回の話としては無料か有料かは一切関係ないので省略。一応、全部書き出してみたつもり。
18弾どころかコラボも出ていてとんでもない事になっていた。
昔から言われていることだが、レースゲームというジャンルである以上(BGMはともかくとして)コースとマシンを出せば、そのコンテンツ量はほぼ無限大と言える。
はじめの方はBGMばかりだったにも関わらず、3月辺りからマシンとコースがチラホラと出始める形となっている。
そして、注目すべきはその頃から「コラボ」の動きが目立ってきている事だ。
次に続く。
DLCとコラボの関係
私が驚いたニュースの2つ目が、セガの「DAYTONA USA」とのコラボレーションDLCが登場した事だった。
その2つの驚きから前段のチェックをして、コラボが増えているという印象を受けたのだった。
先ほどの配信状況を日付順に並べ、BGMやマシン、コースの区別無くオリジナルとコラボの配信開始状況をグラフにしてみた。
リッジレーサー 配信状況
DLCとしては、かなりコンスタントに配信が繰り返されており、途中からオリジナルの配信は減少し、コラボの方が増えている事がわかるだろう。6月に入ってちょっと落ち着いているようにも見えるけど、今後も続く事を期待する。
いや、いままでも企業間のコラボというのはゲーム業界では比較的柔軟に行なわれてきていて、各社の看板タイトルやキャラクターを1つのゲーム中に混在させるという事は、一種のお祭りタイトルという形で定期的といっていいほどよく行なわれてきていた。
でもね。お祭りはもっと小規模でもいいと思うんだよね。
そしてそれがDLCだというのであれば。
思い返せば、やはりローンチタイトルだった「地獄の軍団」(これは買っていたりする)も、ゲーム内でコラボをしていたりする。
といっても、こちらはDLCという扱いではなく、BGMのバンドとのコラボで、各バンドの発表したパスコードをゲーム中に入力すると、専用装備が手に入るという形であった。
だから、これは少し違う。今回の話は「ゲーム発売後のコラボとしてのDLC」という所にある。
それにより、既存のタイトルでも新しいコンテンツの提供が出来る形になるし、息の長いタイトルになる事も出来る。いや、むしろDLCって本来はそうなるべきだったんじゃないの?という感じさえ受ける。
DLCではないおまけ満載タイトル
先週発売されたばかりの「ペルソナ4ザ・ゴールデン」。通称、「P4G」。
時間がない事を承知で自分も買ってやっと導入部分が終わったぐらいなんだけど、これをやっていて感じた事は、「あぁ。このゲームは間違いなく古き良き時代のダウンロードのない追加コンテンツの好例だな」だった。
話が少し変わるが、「DLC」は「ダウンロードコンテンツ」。ダウンロードするのが基本のハズなんだが、殆どの場合はダウンロードするのはあくまでもキーだけだったりして、実際はディスクなどのメディアに事前に仕組まれているケースが多い。
ただ、これは雑誌の付録にキーコードをおまけとして付ける事が出来たり、オンラインの環境が無い人でも利用できるという意味で、非常に有効な手段の一つだったりする。また、オンラインがあったとしても、マルチプレイする場合に自分は使えなくても、相手が購入している場合に相手のキャラクターが表示されないとか一緒に遊べないでは明らかに変なことになってしまう。
なので、いつの間にか「追加コンテンツ」という昔で言えば「隠し要素」や「おまけ」というものが、後からダウンロードしない「DLC」という形で発売時点で事前に一斉配布されるという状況になってしまっている。
先ほどの話に戻って「P4G」。
このタイトルではそういう意味での「DLC」は今のところ一切発表がされていないし、内容を見る限り全ての追加コンテンツは「隠し要素」として「おまけ」として存在している様だ。値段が発表された際に(他のタイトルに比べて)「高い!」とも評されたようだが、それらが全て入った状態での提供であり、ユーザ側が思う存分課金を気にすることなく遊べるように作られている様に見える。
そう。昔はそれが普通だった。そういう点で、このゲームを私は「古き良き」と感じたのだ。
おまけとDLCと周回要素
ゲームで遊ぶとき。その目的は何か?といえば、「楽しむ事」だが、楽しみ方は人それぞれである。
ストーリーを楽しむ人、映像を楽しむ人、ドキドキ感や興奮を楽しむ人、トロフィーを楽しむ人。いろんな楽しみ方がある。
そのうちの楽しみの一つに「クリアする事」はある。
ゲームなんだからクリアして当然だろう?というのは最もだが、なぜ人はゲームをクリアするのか。
それは、達成感だ。何かを得られる事を期待し、それが1つの目標となってゲームをクリアするのだ。
当然、その「何か」とは物である必要は無い。レースゲームであれば、最速タイムだったりするだろうし、狩りのゲームであればモンスターの大きさや数だったりもするだろうし。
ただ、それだけでは飽きてしまう人や、それでは楽しめない人の為に、ゲームメーカー側は様々な楽しみの要素を用意する。それこそ様々な形があるが、それらを総称すると「おまけ」と言えるのだろう。
では、そもそも「おまけ」ってなんなんだろう?って考えると、それはあくまでも「ファンサービス」であったハズだ。遊んでくれた人に対するおまけの精神。クリアした人に対するご褒美。おまけの数が多い、おまけとしての価値が高いゲームは、長期的に楽しめるものだ。
そして、単に同じゲームを遊ぶときに飽きさせないように、そのおまけ自体がゲームに反映するようになってきた。
シューティングゲームだと、難易度の選択が増えたり、武器の種類が増えたり、RPGだと衣装や装備が増えたり、アドベンチャーだ分岐するシナリオが増えたり、音楽ゲームだと遊べる楽曲やモジュールと呼ばれるキャラクターや衣装のパターンが増えたり。
などなどなど。
その工夫により、人は同じゲームを何度遊んでも新鮮な気持ちで楽しめた。
周回要素が多く、楽しめるゲームは何度でも楽しめる。
人は、自分が使った時間で相手を評価する生き物だ。
長い時間遊べば、それだけファンになる。
それだけの価値があると「自らが遊んだ時間がそれを証明する」からだ。
本体価格とDLC
前段で「ファンは長く遊ぶ」と書いた。
逆に極端な言い方をすれば、「他のゲームで遊ばない」となる。
それは、「他のゲームを買う必要が無い」を意味する。
近年。スマホなどの気軽に遊べるゲームが増えた事もあり、ゲーム機で遊ぶ時間は減っているといわれるが、逆に1つのタイトルを長時間遊ぶという傾向も増えてきている。
新作ゲームが発売されるたびに「想定プレイ時間」は話題になるし、これが多ければ多いほどボリュームがあるように評される。
でも、ゲームメーカーとしては気持ちは複雑なハズだ。
「1つのタイトルで長い時間遊ばれてしまうと次のタイトルが売れないので適当に切り上げて欲しい」という気持ちが少なからずあるのでは無いだろうか。
例えば、5000円のゲームで50時間遊ぶのと、1000時間遊ぶのでは、買って遊ぶ方は1000時間の方がコストパフォーマンスが良いのでいいゲームという事になるが、1000時間の間は新しいゲームを買う必要が無くなるという意味である。ゲームメーカー側は全く儲からない。
ならば、1000時間遊べるゲームを作れ!という事になると、大作になってしまうために開発費用は上がってしまうし、それで売れるかどうかは時間の流れの速いゲーム業界では時間をかけて作る事は大いなるリスクだ。そもそも、1000時間分遊べるからといって高い値段で売ったら誰も買ってくれない。
パッケージの値段を抑え、月額課金で集金するオンラインゲームの場合は様相が異なる。事実、昨今のスマホなどで遊ぶソーシャルネットワークゲームは、結果的にこちらの集金モデルに近いため、利用者側は(一部の人を除いて)出費が少なく長期間遊ぶ事ができている。
ゲーム機で遊ぶゲームの値段は数千円程度。基本無料だったり、数百円程度の課金で遊ぶソーシャルネットワークゲームに比べると高い。
なので、近年では昔に比べて安い価格設定にしているケースは多い。これは表面的なパッケージの値段を抑え、販売本数を稼ぎ、回転数を上げるためのものだ。これにより「おまけ」の部分はDLCという形で追いやられた様に感じている。
結果として、
- ゲームを楽しんだ人がゲームメーカー側からご褒美としておまけをもらえる
から
- ゲームメーカーがゲームを楽しんだ人側からご褒美としておまけを買って貰う
という、全く逆の形になってしまっている。
この構図は、揶揄もこめた形で「お布施」と呼ばれる事もある。
まとめ
ここまで書いてきてその結論?って感じだけど、「自分はDLCはありでいい」と思っている。
無論、値段的なものとかの高い安いの議論などもあるんだろうけど、サービスとしてその可能性という意味で、DLCというものはあっていいと思うし、それでいい方向に向かうんならぜひDLCの活用は広がって欲しいと思っている。
Vitaは、オンラインに特化したゲーム機である。そこは、何度も書いてきた。
だから、アップデートも頻繁だし、ゲーム自体もダウンロード版での販売もこれまでのゲーム機に比べて増えている。DLCだってかなりの数が登場しているし、うまく使えばいくらでも増やせるだろう。容量の問題は別として。
過去のゲーム機では「事前に開発する必要があった」という問題があり、その為に料金回収の仕組みはゲームメーカー側が事前に計画しなければならなかった。コラボにしろ、キャンペーンにしろ。
だけど、オンラインで随時更新が可能なVitaなら、事前でなくてもいいんじゃない?
と、思う。具体的には後からコラボという形にして、既存のタイトルにまったく別の会社の、製品の、サービスの情報をDLCという形で提供するという。そこを無料にするのか、低料金にするのか、特定の利用者のみに限定するのかは、コラボの方法だけの問題だ。
相互コラボという形もできるだろうし、食品メーカーや玩具メーカー、アニメとのコラボもいくらでもできるだろうし、既にそういう形は出来つつある。*1
そういう事が進むんであれば、DLCはもっとありでいいと思う。