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ゲームの難易度について

そういえば先日。「GRAVITY DAZE」を"死ぬ気でクリア"した。

いやいや、あのゲームで「死ぬ気でってのはいくらなんでも大げさだろう?」「そんなに難しかったか?あれ。」と、既にクリアした方は思うかもしれないが、実は結構ホンキな話。というか、なんとなく体力ゲージのレベルアップをせず、「体力Lv:1のままクリアした」からだ。もうね。即死レベルで死ぬ死ぬ。でもね。すごい楽しかったんです。マジで。

「バカじゃないの?そんなことしないで普通に解けばいいのに。時間もかかるのに」

という声が聞こえてきそうなので、今日はこのゲームと他のゲームを例に出しつつ、自分の考えている「ゲームの難易度」についてまとめておきたい。

ま、「縛りプレイが好きな人」にはいまさらの話、です。

※ PS Vitaは直接関係ないので、タグはなしで。


ゲームの難易度設定の問題点

一般的に。ゲームの難易度を開始する時に「EASY/NORMAL/HARD」などと選択できるゲームは昔から結構ある。が、自分はこの手の難易度設定は正直に言うとあまり好きではない。パズルゲームを除いて。

パズルゲームの場合の難易度は、比較的判りやすい。殆どの場合は「難易度=プレイ時間」であり、そもそも1回のプレイ時間が数分~数十分程度と短めで、諦めもやり直しもしやすいからだ。自分に合わないと判った難易度であれば、直ぐにやり直すことが出来る。スピード重視の落ち物系パズル以外ではあまり問題は無いと思う。

だが、シューティングゲームやレースゲーム、スポーツゲームの場合は違う。プレイ時間は基本的に同じになる為、「難易度=敵の強さ」になる。この場合の強さとは「敵の耐久度や弾数」「相手チームのスピードや正確性」などになる。難易度によってはどちらも人間の限界を超えそうなレベルで戦いを強いられることになる。調整次第では明らかに「ありえない」という挙動になってしまう問題点がある。麻雀とかもね。

また、アクションゲームやRPG(ARPG含む)の場合は、難易度は「敵の数」だったり「自分の体力や武器の弾数の制限」だったりする。ある意味シューティングに近い部分で同じような問題が出てくる。この難易度も数を増やしたり減らしたりという調整ではあるものの、一番の問題は「やって見ないと自分に合うレベルがわからない」という事。そして、「やってみるにはある程度の時間が必要だ」という事。

これが一番の問題。


難易度と達成感と絶望感

ゲーマーにもいろんなタイプの人がいるが、例えば自分の場合は「同じゲームをひたすら何回もやる」ことが好きなタイプである。なので、「EASY/NORMAL/HARD」とあったら、それぞれを試してみるという事も決して少なくない。

だが、それが普通か?というと、そんな事は無い。ゲーマーだからといって、同じゲームを何度もやるのではなく、いろいろなゲームを一通りプレイすることに楽しみを見出している人もいる。そういう人にとっては、「ゲームは1回やっておしまい」となるし、そもそもゲーマーじゃない忙しい人も同様に何度もプレイするという事は少ない。

そうなると、パズルみたいに短時間なゲームならともかく、何十時間も遊ぶゲームの「最初で」「まだプレイしてもいないのに」「難易度を選ばせる」と言うことは、個人的にはどうなんだろう・・・と、思っている。

一度しかプレイしない人だって、別に「簡単に解きたい」ワケではなく「楽しみたい」と思っているワケで、ゲーム会社が「たぶんそんな感じ」で設定したレベルには根拠も何の基準もなく、自分と合うかどうかはやってみないと判らないという事は、実は結構なプレッシャーになっていると思う。

よく判らないけど最初だし「EASY」でとか思ったら、やたらと簡単でさくさく進み、話もあっという間に終わってしまった。世界を脅かす魔王なのに、あっさり倒しちゃったよ・・・みたいな。

これでは、感動するものも感動できない。

解けば達成感を得られるというものではない。

達成感は、自分が考える上限を超えた時に感じるもので、それ以下だと達成感は生まれない。

「なら最初から"NORMAL"とか"HARD"を選べばいいだろう」という話でもあるが、それが本当に自分の考える上限なのかは、やってみないと判らない。それより高いと、高すぎると達成感の前に絶望感に襲われる。また何十時間も遡って最初からやるの?という気分になる。

人間は基本的にワガママなものである。特に娯楽であるはずのゲームで絶望感は味わいたくないもので。


レベル制RPGの難易度

RPGには何種類かあるが、日本において一般的なRPGというと「レベル制」がある。難易度みたいなものは通常無い。

だが、モンスターはストーリーが進むごとに強くなってくる為、モンスターを倒したり、イベントをクリアしたりしてキャラクターのレベルをあげ、体力(HP)や魔力(MP)などを強化することで、難易度を調整する。

より強力な攻撃を出せたり、強いモンスターとも楽に戦えたりする。

倒せないモンスターがいれば、自分のキャラクターのレベルをひたすら上げる。1つ上げれば楽にクリアできる程度の場合もあるが、3つも5つも上げないと進められない場合もある。

ゲームによっては上限が異なるものの、キャラクターのレベルを最強にまで鍛え上げれば、「世界にとって魔王より恐ろしい攻撃力をもった存在」になることも出来る程に。

プレイヤーのスキルが高くなくても、時間さえかけられれば先に進めるという点で、比較的馴染みやすいからか、昔からレベル制のRPGは根強い人気がある。

だが、時間に追われる忙しい現代社会では、レベルを地道に上げるという時間を取ることもままならず、途中で放置されてしまうケースも少なくない。いや、最近ではむしろ多いかも知れない。時間をかければなんとかなるというのは、今どき流行らない。

そして、上がったレベルは下げることが出来ない。


モンハンと難易度

自分が過去一番長く遊び続けているのはモンハン。一口にモンハンといってもオンライン版などもあり、若干条件や仕様は異なる点があるので、先に断っておくけど「MHP2ndG」「MHP3rd」の話。

モンハンには難易度がない。レベルもない。

キャラクターメイキングで難易度を選ばせることは無い。

キャラクターメイキングで男性と女性を選んだとしても、その能力値に違いは基本的にないし、ハンターランクという考えはあるものの「レベルアップ」という概念は無い。自分の体力の初期値は何百時間やっても「100」だし、アイテムやスキルなどで増やしたとしても最大150だ。素材やお金が必要だが、最初の方から「150」でプレイすることも出来る。

自分が一番長く遊んでいる理由は、たぶんコレである。難易度が無いからである。

「それ、飽きない?」

と、言われるともともと、自分がそういうタイプのゲーマーであるからなんだけど、「難易度を自分で調整しているから飽きない」となる。

もちろん、モンハンにも「強い武器」はあるし「強い防具」も「強いスキル」もある。だから、それらを使うこともあるけど、気分によって変えている。「俺強えぇぇ!!」がしたい時は、強い武器で弱い敵を倒しに行くし、「スリル感を味わいたい」と思えば、強い敵に行くか、自分の能力を減らし挑む。無論、弱くした分、負けることも多いが、そういう事は気にしない。


GRAVITY DAZEの難易度

昨晩クリアしたというPS Vitaの「GRAVITY DAZE」。レビュー自体はいろんな人が発売後にしているので、ここではしないが、難易度と言う話をするとモンハンとも少し違う。RPGに近いが、それとも少し違う。

ゲーム開始時に「難易度」は設定しない。ここはモンハンやRPGと同じ。

だが、能力値が固定されているのではなく、能力値は自分で上げるようになっている。

上げられる自分のスキルは「基本能力(体力や移動に関する能力)」「格闘能力(キックや回避などの攻撃に関する能力)」「重力能力(持ち上げられるものの数などの特殊能力)」「必殺技(通常の格闘とは別の強力な攻撃が出来る能力)」の4つのカテゴリがある。

ストーリー進行上、キャラクターにはレベルの概念はなく、各能力の上限としてのレベルがあるのみ。

このゲームについては、ゲーム中に集めるジェムで自分のスキルを割り振って上げて行くことが出来る。強化は特に強制もされず、任意に随時できる。

ゲーム進行上、自分にとって難しいかな?と感じ、たとえば攻撃力が欲しいと思ったら、攻撃力を上げればいいし、体力が足りないと思ったら、増やせばいい。スピードを上げたりも出来る。これらの能力がよく判らなければ放置しておいていい話。これで難易度を調整できるようになっている。

ただし、一度強化したレベルは下げることは出来ない。普通は下げたいと思わないだろうけど。


マリオ3Dの難易度調整

自分は持っていないので聞いた話、だけど。3DSの「マリオランド3D」は、自動難易度調整らしい。

同じエリアで何度も死んでいると、お助けとなるアイテムが出やすくなったり、ゴールまで移動できるワープアイテムが登場したりするそうだ。どうしても詰まって先にいけない人を救済する為のシステムとなっているらしい。

もちろん、アクションゲームであるという点で、繰り返し繰り返し何度もやるゲームという意味で、解き方が判らない最初の内はそういうアイテムが出ることで、先に進める楽しさもでてくるだろう。絶望感を持たせないために救済アイテムを登場させ、最後まで、ゴールまで行ける事を見せる工夫がされている。

難易度はプレイヤーのプレイ進行状況をみて、ゲーム側あ自動的に判断して調整してくれる。

当然、プレイヤーがうまくなってくると、それらが不要になってくるし、そもそもスコアを競うというゲームにおいて、プレイヤーのスキルはコインを取った数やプレイ時間のボーナスなどにより評価されるタイプであり、お助けアイテムの取得をしない方が、結果的にはスコアが上がるように調整されている。(たぶん)


オンラインゲームの難易度

「対戦ゲーム」や「ネットワークゲーム」になると「自分で調整する」ということが非常に難しくなる。

たとえば、対戦格闘ゲームであれば、スキルの高いプレイヤーと初心者が同列に戦うことは無理だ。初心者も勝てるシステムに調整すると、スキルの高いプレイヤーのやる気を削ぐ形となり、結果的に駆け引きの要素が無いことで戦いに深みが無くなり、長く遊べなくなる。

将棋や囲碁、麻雀などもそうだ。コンピュータ対戦より、対人戦の方がおもしろいものの、完全にプレイヤーのスキルに依存される。ルールが決まっている為、プレイヤー側で調整が出来ないのだ。手を抜いて戦うからおもしろいって事もないし。

ソーシャル系のゲームに関しても、難易度は特に無い。プレイヤーのスキルが必要とはいっても、そもそもルールが単純化されている為、スキルよりも大事なのは「やりこむ時間」になる。そして「時間は課金でカバーできる」というのが、一つの常識になっていたりする。

昨今では、これらのオンラインゲームも「マッチング」と呼ばれるシステムが導入されており、プレイヤーのスキルレベルと合わせて相手を選んでくれる。初心者には初心者を、熟練者には熟練者を、と。

この辺りは昔から戦績のリセットや対戦中の切断などのマナーによる問題点もあり、ゲームバランスとは別の問題を抱えている。


まとめ

自動にしろ任意にしろ。難易度は自分で調整する時代になってきていると思う。

ゲームメーカー側が用意したお仕着せの強引なバランス調整による難易度も、それはそれで意味はあると思うものの、千差万別なプレイヤーに合わせるのは正直無理がある。というか、プレイヤー側もどれを選べば自分に合うのか困ったりするだけだ。

何度も何度もやるゲームであれば、自分のスキルを把握した上で、難易度を選びなおすという事も出来るだろう。

だが、現代社会は忙しい。よほど暇な人か好き者でもない限りは、何度も繰り返して遊ぶことは出来ない。1プレイが何時間、何十時間となるゲームの場合は、自分が最初に選んだ難易度が自分に合わないと、興ざめしたり、やり直しを強いられたりする。簡単だから楽しいとは限らないのだ。

ゲームは娯楽である。そこはたぶん間違いない。

だが、「楽である」ことと「楽しい」は一致しない。重なる部分はあっても、プレイヤー毎に好みは違い、一致しないのだ。

ゲームが多様化していく中、本来はプレイヤー層の多様化を目的として用意されていた「難易度」は、今では形骸化してしまったように感じる。

ゲームの難易度とは、ゲームの自由度でもある。

「ゲームとの付き合い方」をゲームメーカー側が提案する形ではなく、プレイヤー自身が自分で考える時代に既になっているんじゃないかと思う。ゲームメーカー側はそのための難易度として「自由度」を用意する形で。

合う合わないはもちろんあるだろうけど、自分の工夫でゲームをちょっとおもしろくすることは出来るとおもう。