VitaとSENが繋がる先は
ふと思った。妄想入ってる。っていうか、妄想。
Vitaの「わりと良くある不満点」の一つに、「データのバックアップ」がある。明日、システムソフトウェアのバージョンアップがされるというニュースを聞いて、ぼんやり考えた結果として、
「なるほど。将来的にはバックアップと言うよりゲームのセーブデータも全てクラウドかするつもりなのか」
という思いに至った。だから、今面倒で不満点になっているのか、と。
以下、不満点と考察した事について。
コンテンツ管理アシスタントのMac対応
昨日も書いたけど、Vitaのシステムソフトウェアのバージョンアップ(1.60)が明日(2/8)に予定されている。
マップ機能だとか、動画機能*1だとかが追加されると言う意味で、いい意味でも悪い意味でも話題性があるバージョンアップと言えよう。
だが、たぶん一番の目玉はそれらでもなく、「PSNからSENへの変更」でもなく、
- コンテンツ管理アシスタント for PlayStationのMac OS版リリース
だと思う。
ようやくというか、やっとというか。
だが、これでも完全ではないわけで。
Vitaのバックアップ環境の弱さ
今回の対応で、Vitaのデータバックアップ環境は揃った。・・・とはいえない。
環境としては、PS3、Windows(XP/Vista/7)、Mac OSX が必須である。このゲーム機とパソコン、あえて誤訳的な意味合いで言い方を変えると「ホームコンピュータ」「ホストコンピュータ」「親機」にあたる。
この「親機」にVitaを接続する形(子機)で、環境が整うと言う形式になっている。
ゲーム機である以上、パソコンに比べたらPS3の各家庭普及率は決して高いとは言えない。販売台数は500~600万台程度。
では、パソコンの方はどうなのか?というと、現代社会では必須だ必須だといわれ続けながらも、ここ数年は世帯普及率としては横ばいが続いている。大体80~90%程度で推移していて、国内世帯数は5200万ほどと考えると4500万台といったところだろうか。複数台所有は無視するとして。Macも対応したことで、かなりの台数が対応したように見えるかもしれないが、それでも
「Vitaのバックアップには上記環境が必須である」
という前提は、ある意味というか。ゲーム機として考えると非常に間違っている。
ゲーム機のバックアップに別のゲーム機やパソコンが必要という依存関係は、構造としてものすごく脆弱だ。
バックアップする先の信頼性
バックアップとは、大事なデータを「保管する」事が目的だ。
つまり、保管する先は「信頼性の高い場所」で無ければならない。というか、それが望ましい。
どんなものであれ、必ず壊れる可能性はあるワケだが、単純に考えてPS3やPCなどの「日常的に動作する機器」と、メモリーカードなどの「メディアストレージ」では、壊れる可能性の信頼性は明らかに後者の方が高い。長期的な保存にも向いている。
PSPやDSなどは、メモリカードを採用しており、メモリカード間のバックアップも出来るようになっていた。スロットがそれぞれ1つづつしか無いため、バックアップ作業自体はかなり手間ではあったものの、バックアップする先の信頼性はある程度あるといえた。
でも、Vitaは違う。正直に言えば、信頼性が高いとはいえない、壊れることが決して少なくなく、壊れた場合のリスクが大きい場所にバックアップを取るという構造。
この構造をストレートに表現すれば「バカなんじゃないの?」である。
個人の。個々の理解と責任において「データをバックアップする先にパソコンを選ぶ」というのは、決してダメとは言わない。むしろ、それはリスクを把握した上で、より幾重にもバックアップ可能な、HDD自体を冗長構成にしたり、外部ストレージとしてNASやメモリカードなどのさらに逃がす先を自分で用意できるという点で、その選択肢はありだ。自分がそれを選ぶのなら問題は無い。
だが、Vitaの場合は、これを強要しているのだ。
環境が別に必要である、と。
これは問題である。パソコンの普及率はそれなりではあるものの、「全ての人が自由にパソコンを使えるわけではない」という問題は、技術的な話でもあり、また各家庭の事情的なものもある。子供が、親の許可を得なければパソコンは使えない家庭も多いだろう。いろいろ課題はある。
いや、そもそも「手軽に出来てこそのバックアップ」であり、「バックアップすることに躊躇やストレス、敷居の高さを感じるようではバックアップとして不完全である」といえる。
コンテンツ管理アシスタントのUI
話が少しそれるが、「Vitaの不満点」に上がることの一つに「コンテンツ管理アシスタントはVitaからでないと操作できない」という話がある。これもストレスの一つだ。
具体的に言えば、PSPなどはUSBケーブルでパソコンと繋いだ場合は「メモリカードを外部ストレージとしてパソコン側から直接見ることが出来、パソコン上でデータのバックアップやコピー、削除などが行なえた」のだが、これが出来ずに全てVita画面上で操作しなくてはならなくなった。
この為、パソコンの中のフォルダ構成も全く無視して固定化されるし、画面操作も決してファイル管理をする上では使いやすいとはいえない。ファイル名も変えられなければ、フォルダも作れないわけで。
これを表にすると以下のようになる。(参考として一般的なスマホも入れる)
項目 Vita PSP スマホ 管理側 Vita PC/PS3 PC 操作側 Vita PC/PS3 PC 接続方法 USB USB USB 接続時の充電 × 不可 ○ 可能 ○ 可能 フォルダ構造 Vita依存 OS依存 OS依存 フォルダ追加 × 不可 ○ 可能 ○ 可能 ファイル削除 ○ 可能 ○ 可能 ○ 可能 ファイル名変更 × 不可 ○ 可能 ○ 可能 ストレージ利用 × 不可 ○ 可能 ○ 可能
見たいな感じ。*2
充電は関係ないだろう!という話もあるが、PS3やPCと接続されている状態で常に充電できるのなら、わざわざケーブルを入れ替えたりしなくていいんだから、みんなそうするよね?という意味で、あえて書いている。
この表の通り、Vitaでは出来ないことが多く、またバックアップするのに手間や敷居の高さがそこかしこにあり、正直使い勝手が良いとはいえない。
PSPでは出来ていたのに、なんで出来なくなってんだよ!という気持ちもあるんだが、これが結局次の話に繋がるんだな~と気付いた。
コンテンツ管理アシスタント Mac OS版の登場
今回、新たに「コンテンツ管理アシスタント for PlayStationのMac OS版」が登場する。
このニュースを聞いて最初に思ったのは、「あれだけ使いづらいって言われていたのに、バージョンアップじゃないのか」だったが、この事で理解したのだ。
「コンテンツ管理の画面UIをOSごとに作らなくて良い様にして、操作は全てVitaにやらせることで、同一のUIに統一しようとしているのか」
と。これであれば、将来的に別のOS(Linuxなど)や保存先が出た場合でも、画面は特に考える必要はなくなるし、ユーザ側が「同じ画面操作」であれば、(現在はUIがPSPやスマホと違うとしても将来的には)混乱が少なくなる・・・と言えるだろう。
PC側で操作させない理由は、これを狙っているんだろうな?と、思った。
Vitaのセーブデータの保存先
以前もこのタイトルで書いたが、現在のVitaのセーブデータの保存先はかなり複雑である。
パッケージ版の場合だけでも2種類あり、ダウンロード版を含めると3種類になる。しかも、バックアップをするにはそれぞれで出来ることできないことが決まっており、さらに理解し難い状態になっている。
正直に。何度でも言うが、正直な感想としては「これは紛らわしくてダメだ」と思う。
だが、である。ここまでの話を整理すると以下のようになる。
- バックアップは(対象先がどこでアレ)Vita上でやらせる
- PS3、Winに続き、Macと保存先が増えている
- だが、上記が無い人にもバックアップの必要性はある
- パソコン以上に信頼できる保存先が必要だ
- PSNからSENにサービスが変更される
と。
・・・あれ?それってつまりこういう事か。
セーブデータ保存先の新たな可能性
PSNがSENに変更されるという話については、大分前に発表があった。たしか9月ぐらい。
そういう意味では別に突然ではないんだけど、その時の発表でそういえば「ソニークラウド」の話をしていたのを思い出したのだ。
「コンテンツ」という言葉を説明するときに、よく使われる単語は「音楽」「動画」そして「ゲーム」である。
ゲーム自体もコンテンツであり、またゲームのセーブデータ自体もコンテンツと言える。
この時の説明として「クラウドがあらゆるデジタル機器を繋ぐ」という感じの話があった。
今のVitaを使ってみると判るんだけど、非常に中途半端である。ネットワークに依存していることはわかるんだけど、最先端って感じじゃなく、むしろ機能低下している感じすら受けるような。
でも、それは「クラウド」が無かったから。
今後、「セーブデータ保存先にクラウドが登場」するのは間違いない・・・と、思う。*3
そうなったとき、今の「Vitaカードに保存」「メモリカードに保存」という個別の話とは別に「セーブデータをクラウドに保存」または「セーブデータをクラウドにバックアップ」が出来るものと思われる。今、ユーザに「Vitaカード」か「メモリカード」かを見せていないのも、将来的に「それはどっちでもよくて、本体側かクラウドかだけの違いにしたい」んだと思う。
まとめ
今はケーブルでPS3やパソコンと繋ぐけれども、クラウドになればネットワークに繋がっていれば十分になる。コンテンツ管理のアプリもパソコンなどにデータを送るのと、同じ操作で利用できる。むしろ、混乱は少なくなるだろう。*4
また、ゲーム中で音楽を鳴らしたり出来るが、この音楽は今はダウンロードしなければならない。
でも、コンテンツとして音楽データもクラウドに置いてあれば、そこから持ってくる形になる。さすれば、いつでもいくらでも音楽データを使うことが出来る。クラウドの容量によっては、何時間でもリピートすることなく次々ダウンロードを続ける形で鳴らし続けることも出来るだろう。
動画も同じだ。クラウド上に置いた動画は、繋がった他の機器でも見れるし、利用できるようになる。
将来的には、Vitaで動画配信もできることから、動画をコンテンツとしてクラウドに置くことも出来るようになるかも知れない。それだって、同じことだ。
Vitaには通知アプリがあり、何かがダウンロードし終わると通知されたりする。別にダウンロードに限らない。nearの更新や、LiveAreaの更新、PSNのステータス変更など様々なことを通知できる。
未だ出来ないが、やろうと思えば Twitter のタイムラインの更新を通知する事だって出来るだろうし、PS3などでの録画状況なども通知できるだろう。クラウド上にあるゲームであれば、何らかの更新が入ってイベントとして通知してくることも十分に考えられる。
プラットホームをまたがった複数のゲームで、同じセーブデータを共用できる様になり、今までのように古いデータの移行とかコピーとかを考えなくても良くなる。前作からの引継ぎはもちろん、他作品とのコラボも出来るようになるだろう。PS3とVitaを繋ぐという事も、スマホやパソコンのWebでそのデータを活用することも出来る。
いまでも、クラウドサービスでそういう事をしている人は結構いる。
だけど、「ゲーム」となるとなかなかどうしてするのは難しい。
でも?でも。きっと意外と近い将来、結構面白いことが起きるんじゃないか?
そんな気がしてきた。
*1:動画機能についてはまた書きたいことがあるんだけどそれはまた別の機会に。
*2:ストレージ利用については、所定フォーマット以外のデータをストレージとしてコピー、運べるか?の意味。Vitaは各アプリが利用できるフォーマット以外はコピーできない為、基本的には出来ない。
*3:じゃぁ、そもそもクラウドは信頼が置ける保存先なのか?という根本的な話はあるんだけど。個人的にはクラウドにデータを保存することは好きじゃないし。むしろキライ。
*4:それならWi-Fiとして無線LANルーターが必要で、パソコンより普及してないんじゃないの?むしろ混乱するんじゃね?という話としては、3Gがあるという時点で一応無線LANルーターなどは不要と言える。